
米国・サウジアラビアが15億ドル規模のレアアース加工JV設立へ:中国依存脱却と防衛サプライチェーン強化
合弁事業による統合サプライチェーンの構築
Critical Metals Corp.(CRML)は、サウジアラビアの大手産業コングロマリットであるTariq Abdel Hadi Abdullah Al-Qahtani & Brothers Company (TQB)と、レアアース加工施設に関する50/50の合弁事業(JV)設立に向けた基本合意書を締結しました。この提携は、グリーンランドのタンブリーズ鉱山で採掘されるレアアースの加工から供給までを一体化し、特に米国防衛産業向けのサプライチェーンを強化することを目的としています。サウジアラビアは、このJVを通じてタンブリーズ鉱山の生産量の25%を長期的に購入する権利を得ます。CRMLとTQBは、サウジアラビア国内に最先端のレアアース加工施設を建設・運営するための50/50のJVを設立します。この施設は、CRMLがグリーンランドで開発中のタンブリーズ鉱山から産出されるレアアース濃縮物を加工し、最終製品(酸化物、金属、磁石材料など)を製造します。この連携により、中国への依存度が高い現在のレアアース加工サプライチェーンの多様化が図られ、米国および同盟国の産業、エネルギー転換、防衛分野における供給の安定化に貢献します。
米国防衛産業への貢献とサウジアラビアの戦略的役割
本JVは、米国およびサウジアラビアのビジョン2030に沿った戦略的な取り組みであり、生産されたレアアース製品は主に米国防衛産業に供給されます。これにより、米国の国家安全保障に不可欠な重要鉱物の安定供給が確保されます。また、サウジアラビアはこのJVを通じて、タンブリーズ鉱山の生産量の25%を長期にわたり購入する権利を得ており、これは同国の産業発展と経済多角化戦略にも合致するものです。
資本効率と長期オフテイク契約
CRMLはこのJV設立にあたり、株式の発行や借入を行わず、資本支出の義務も負いません。JVの建設費用は主にTQBが負担し、CRMLは持分50%を維持します。さらに、サウジアラビアへの25%の長期オフテイク契約により、タンブリーズ鉱山の生産量の100%が既に長期契約で販売されることになり、プロジェクトの商業的リスクが大幅に低減されました。
レアアースサプライチェーンの地政学的再編
中国依存からの脱却とサプライチェーンの多角化
今回のCRMLとTQBの提携は、世界的にレアアース加工能力の大部分を占める中国への依存を低減させる動きとして注目されます。特に、米国や欧州が重要鉱物のサプライチェーンの安全保障を強化する中で、サウジアラビアのような中東の国々が加工拠点として台頭する可能性を示唆しています。これは、地政学的なリスクを分散し、より強靭なグローバルサプライチェーンを構築する上で重要な意味を持ちます。
米国・サウジアラビア間の協力深化の意義
本件は、単なるレアアースの供給契約に留まらず、米国とサウジアラビアの間の戦略的パートナーシップを深化させるものです。両国は、先端技術、防衛、エネルギーといった重要分野での協力を強化しており、今回の提携はその一環と言えます。サウジアラビアが持つ産業基盤と資金力、そしてCRMLの持つ鉱物資源開発のノウハウが組み合わさることで、新たな産業クラスター形成や技術革新が促進される可能性があります。
将来的なレアアース市場への影響
このJV設立が成功裏に進めば、世界のレアアース市場における需給バランスに影響を与える可能性があります。特に、米国防衛産業や、電気自動車(EV)向けモーターなどに不可欠な高性能磁石材料の供給において、新たな選択肢が生まれることになります。CRMLは、このパートナーシップを通じて、長期的かつ安定的なレアアース供給企業としての地位を確立していくことが期待されます。