
『Dead by Daylight』が10年続く理由――開発陣が語る「あえてライブサービスゲームを作らない」という逆転の発想
世界中で絶大な人気を誇る非対称対戦型ホラーゲーム『Dead by Daylight(DbD)』が、まもなく10周年を迎えようとしています。多くのライブサービスゲームが乱立し、短期間で姿を消すことも珍しくない現代のゲーム業界において、なぜ『DbD』はこれほど長期間にわたり成功し続けているのでしょうか。Behaviour Interactiveの開発陣がGDC 2026で明かした「ライブサービスゲームを成功させるための秘訣」は、多くの人が予想するのとは全く異なる「まずはライブサービスゲームを作らないこと」という驚きの戦略でした。
『Dead by Daylight』の成功を支えた開発戦略
「ライブゲーム」を目的とせず、「何度も遊べる楽しさ」を追求
開発初期の目的は、最初から「ライブサービスゲーム」として完成させることではありませんでした。チームが目指したのは、リプレイ性が高く、繰り返し遊んでも飽きない「無限の瞬間生成装置」を作ることでした。プレイヤーが何度も遊びたくなるような体験を突き詰めた結果、コミュニティの熱量に応える形でコンテンツを拡充し、自然とライブサービス的な要素が後から付加されていったのです。
「最初から詰め込まない」ことの重要性
現代のゲーム開発では、バトルパスやゲーム内ストアといったライブサービス機能を最初から実装することが求められがちです。しかし、開発陣はそれらの機能を無理に詰め込むことで、ゲーム本来の核となる面白さが犠牲になることを懸念しました。実際に、『DbD』では発売当時、ストア機能やバトルパス(Rift Pass)は存在しておらず、それらは数年かけて段階的に導入されました。
コミュニティとの対話と柔軟な進化
『DbD』が生き残り続けているもう一つの要因は、コミュニティの声に耳を傾け、常に自身を再定義し続けてきたことにあります。市場の変化に合わせてキャラクターやゲームモードを追加し、プレイヤーの要望に応えながら進化を続けてきました。この「変化を恐れない姿勢」こそが、10年という長期的な運営を支える柱となっています。
「ライブサービス」の罠から脱却するための教訓
過剰な初期機能が招く開発のジレンマ
現代のゲーム業界では「ライブサービスゲーム」というラベルが、過剰な期待と重い実装コストを同時に背負わせています。発売初日から完璧な機能を求める風潮は、開発予算を圧迫し、結果として「最も重要な体験」を削り落とすという本末転倒な状況を生んでいます。『DbD』の開発陣が語った「あえてライブサービスゲームを作らない」という戦略は、この過剰な期待から距離を置き、ゲームの核を磨く時間を確保するという極めて現実的かつ本質的な生存戦略です。
成功の定義を再考する時期
この事例は、長期運営を目指す開発者にとって重要な示唆を与えています。それは、「ユーザーに何を提供するか」という問いの前に、「自分たちが作りたいのはどのような体験か」という原点に立ち返ることの重要性です。コンテンツ量やシステムでプレイヤーを囲い込むのではなく、まず「何度でも遊びたくなる核」を作り上げることが、結果的に長寿ゲームを生み出す最短距離になるかもしれません。今後、ゲーム業界が「ライブサービス」の持続可能性について議論する中で、この「引き算の開発戦略」はより一層注目されるはずです。