
COP30開催地のブラジルで露呈した「権力の問題」:気候活動をリードする若者たち、資金提供の壁に直面
COP30がブラジルで開催される中、気候変動の最前線に立つ若者たちが、資金提供のあり方に対する疑問を投げかけています。先住民、キロ ンボラ(奴隷解放者の子孫からなるコミュニティ)、そして周辺地域出身の若者たちは、気候変動対策をリードしているにもかかわらず、資金提供の構造的な問題から資源や意思決定の場から排除されている実態が明らかになりました。
気候変動対策の現場から:若者たちが直面する課題
COP30の開催地であるブラジルでは、気候変動の最も深刻な影響を受けているはずの若者たちが、サミットへの参加に多くの障壁に直面しています。高額な渡航費や、公式な会議スペースへのアクセスに必要な煩雑な手続きが、彼らの参加を阻んでいます。
若者たちの声:能力ではなく、権力の問題
Global Fund for Childrenの気候正義・若者イニシアチブのプログラムコーディネーターであるタリタ・シルバ氏は、「これは能力の問題ではなく、権力の問題です」と指摘します。彼女は、先住民、キロ ンボラ、周辺地域出身の若者たちが、暴力的な官僚主義や、彼らを排除するような制度的な言葉遣いに直面していると説明します。問題は彼らの能力ではなく、資金提供者が口承による知識、精神性、コミュニティケアを正当な政治的行動として認識しないことにあるとシルバ氏は述べています。
調査結果:若者主導の解決策と資金提供の壁
Global Fund for Childrenの資金提供を受けた「Weaving Climate Solutions: Brazilian Youth Insights on the Role of Philanthropy in the Fight for Justice」という調査は、ブラジル全土の43の若者コレクティブと組織が共同で作成した、この種で初の参加型マッピング調査です。この調査では、資金提供の構造的な問題に対する厳しい批判と、資金提供のあり方を改善するための21の具体的な提言が示されています。
特に、先住民、キロ ンボラ、黒人、そして周辺地域出身の若者たち、とりわけ女性たちは、地域に根差した知識と革新性を組み合わせながら気候正義の活動の最前線に立っていますが、体系的な資金提供の障壁に直面しています。また、環境人種差別が日常的に存在する中で、これらのコミュニティが気候変動対策の解決策を主導している実態も浮き彫りになっています。
考察:資金提供のあり方を変革する
この調査結果は、資金提供へのアクセスが単なる運用上の問題ではなく、権力の問題であることを強調しています。経済システムが歴史的負債の返済よりも富の蓄積を優先するブラジルにおいて、経済的資源は若者コレクティブの存在と抵抗の条件となっています。
シルバ氏は、「資金提供は中立ではいられません」と断言します。彼女は、若者たちがすでに新しい可能性を築き、生命を維持していると述べ、彼らへの投資は気候正義と歴史的負債の返済に向けた政治的コミットメントであると主張します。
この調査で提示された21の提言には、資金提供者がパートナーとして行動すること、官僚的な仲介者を排除した柔軟で直接的な資金提供を行うこと、地域の実情に合った簡素化された説明責任要件を尊重すること、そして活動家の時間に対して公正な報酬を支払うことなどが含まれています。
COP30のような国際会議が開催される中で、これらの洞察は喫緊の問いを投げかけます。資金提供者や関係者は、気候変動対策を構築している先住民、キロ ンボラ、周辺地域出身の若者たちが、資源への確実なアクセスと戦略的な気候空間での効果的な参加を確保できるよう支援するのでしょうか。それとも、解決策を持つ草の根コレクティブが会議からも継続的な気候資金からも締め出される一方で、資金はより制度化されたNGOへと流れ続けるのでしょうか。
シルバ氏は、「若者たちは気候変動対策を主導するために許可を求めているのではなく、すでにそれを構築しています」と結論づけています。問題は、資金提供が彼らの道を妨げ続けるのか、それとも彼らと共に歩み始めるのか、ということです。