
米政府のBTC保有額が200億ドル減少?「売却禁止」戦略がもたらす光と影
2025年10月には約407億ドルの価値があった米国政府のビットコイン(BTC)保有額が、現在は約208億ドルまで減少しました。この急激な減少は政府による売却が原因ではなく、ビットコイン価格の下落による市場価値の変動(時価評価額の低下)によるものです。
保有資産の価値が半減した仕組み
米国政府が保有する約32万8,000 BTCは、大統領令により「売却禁止」の戦略的準備資産として厳格に管理されています。価格が急落しても一単位も売却されないため、市場価格の変動がそのまま政府の保有評価額に直結するという構造になっています。
戦略的ビットコイン準備金の成り立ち
この保有資産は、2025年3月に署名された大統領令に基づいています。それ以前は法執行機関による没収資産として不明瞭な扱いを受けていましたが、この令により戦略的備蓄として位置づけられ、市場への放出が禁じられました。
没収による大規模な蓄積
保有資産の大部分は、法執行機関が犯罪組織やダークウェブ市場から没収したもので構成されています。特に2025年10月の約12万7,271 BTCという過去最大級の没収が、保有額を一時的に400億ドル超まで押し上げる要因となりました。
今後の透明性を求める動き
現在、議会では「2026年アメリカ準備金近代化法」の制定が進められています。これは政府の保有分について定期的な監査を義務付けるもので、今後の売却禁止ルールの固守と透明性の向上が期待されています。
「売却禁止」戦略から見る今後の展望とリスク
米国政府によるこのユニークなビットコイン保有戦略は、市場に「政府による突然の売り抜け」という恐怖を取り除くメリットをもたらしました。しかし、裏を返せば、ボラティリティの高い資産を売却せずに保有し続けることの経済的・政治的リスクも浮き彫りにしています。
市場に対する心理的安定とリスクの表裏
「政府が売らない」という事実は、投資家にとって最大級の安心材料となり、ビットコイン供給の固定化に寄与しています。その一方で、国の資産が市場価格のみで大幅に増減する状況は、政府の財務戦略としていかに効率的かという議論を呼び起こすでしょう。価格下落時に何兆円もの価値が「蒸発」して見える状態は、納税者の視点からは批判の対象となる可能性を秘めています。
透明性の確保がもたらす新たなフェーズ
今後予定されている監査法案が可決されれば、政府の暗号資産管理はより公的な監視下に置かれることになります。これは、暗号資産がもはや「法執行の副産物」ではなく、国家レベルの戦略的資産として成熟していくプロセスを象徴しています。今後は、価格の乱高下に一喜一憂するだけでなく、国がいかに資産を透明に管理し、長期的な視点で保有を継続できるかという「ガバナンス能力」が問われることになるでしょう。