
テスラの牙城を崩すか?自動運転タクシー「Pony.ai」が市場を席巻する日
自動運転タクシー(ロボタクシー)分野において、中国系スタートアップのPony.aiがテスラの独走を脅かす存在として急速に台頭しています。テスラが米国EV市場で圧倒的なシェアを誇る中、Pony.aiは革新的な技術と戦略的なグローバル展開で、次世代のモビリティ市場をリードしようとしています。
Pony.aiの躍進:深圳での快挙とグローバル展開
深圳での自動運転タクシー事業許可取得
2025年10月31日、Pony.aiは「中国のシリコンバレー」とも称される深圳で、初の市内全域における自動運転タクシーサービス提供許可を取得しました。これにより、同社は第7世代ロボタクシーを段階的に市内に展開することが可能となり、実証実験から商業サービスへの移行を加速させています。
株価と投資家の関心
2025年に入ってから、Pony.aiの株価はテスラを上回る上昇率を記録しており、年初来で30.17%の上昇となっています(テスラは13.05%)。10月28日に香港証券取引所に上場し、11月6日から取引が開始されたことは、ロボタクシー市場における同社の将来性への期待を一層高めています。Uberをはじめ、Grab、Temasek、Boschといった著名な投資家からの関心も集めており、香港上場を通じて約8億6300万ドルの資金調達を見込んでいます。
グローバルな提携戦略
Pony.aiは、欧州市場でのレベル4自動運転車開発を目指し、Stellantis(フィアット、クライスラー、プジョーなどを傘下に持つ自動車メーカー)との提携を進めています。2026年までに欧州主要都市での車両展開を計画しており、シンガポールでも現地の最大手交通サービスプロバイダーであるComfortDelGroと提携し、日常的な通勤への自動運転車の導入を目指しています。さらに、韓国、ルクセンブルク、カタールでも事業を展開しており、そのグローバルネットワークを拡大しています。
テスラとの比較と今後の展望
テスラのロボタクシー戦略の遅延
一方、テスラは2025年末までに米国8~10都市でのロボタクシーサービス開始を目指していましたが、規制上の課題から遅延が生じています。テスラは上海で開催される中国国際輸入博覧会(CIIE)で、サイバーキャブのロボタクシーモデルを展示する予定ですが、中国国内市場では現地の競合他社にシェアを奪われつつあります。UBSの予測では、中国の都市部では2030年までに最大30万台の自動運転タクシーが稼働すると見込まれています。
Pony.aiの量産体制と収益化目標
Pony.aiは、2025年前半のロボタクシーサービスからの収益が前年同期比157.8%増の150万ドルに達しました。第7世代ロボタクシーの量産は2ヶ月前に開始され、既に200台以上が生産されており、年末までには1000台体制を目指しています。同社はまだ利益を計上していませんが、最高財務責任者(CFO)は2025年末から2026年初頭にかけて収益化を達成するとの見通しを示しています。
自動運転モビリティの未来を切り拓くPony.ai
Pony.aiは、量産体制の確立とグローバル展開を加速させることで、自動運転タクシー分野におけるテスラのリーダーシップに挑戦しています。深圳での事業許可取得、戦略的提携、そして巨額の資金調達は、同社が未来の都市モビリティにおいて中心的な役割を担う可能性を示唆しています。テスラが直面する規制の遅延や中国市場でのシェア低下といった課題をよそに、Pony.aiは実質的な成長と技術進歩に裏打ちされた確かな一歩を踏み出しています。自動運転革命の主役は、もはやテスラだけではないのかもしれません。