欧州初のエクサスケールスーパーコンピュータ「JUPITER」、NVIDIAチップ2.4万基で稼働開始!科学技術の未来をどう変える?

欧州初のエクサスケールスーパーコンピュータ「JUPITER」、NVIDIAチップ2.4万基で稼働開始!科学技術の未来をどう変える?

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欧州で初となるエクサスケールスーパーコンピュータ「JUPITER」が、ドイツのフォルシュングツェントルム・ユリッヒ(Forschungszentrum Jülich)にて正式に稼働を開始しました。このスーパーコンピュータは、NVIDIAのGH200 Grace Hopper Superchipを24,000基搭載し、毎秒100京回以上の演算性能(1エクサフロップス)と、約100万テラバイト(1エクサバイト)という膨大なストレージ容量を誇ります。これにより、JUPITERは世界で4番目に高速なスーパーコンピュータとなり、科学研究の新たな地平を切り開きます。気候科学、生成AI、創薬、脳科学、量子シミュレーションなど、多岐にわたる分野での革新が期待されています。

JUPITERの核心:最先端技術の集結

圧倒的な計算能力とストレージ

JUPITERは、50個のコンテナモジュールから構成され、2,300平方メートルの広大な敷地に設置されています。その中核をなす「Booster」モジュールには約6,000ノードが配置され、各ノードにはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipが搭載され、NVIDIAのQuantum-2 InfiniBandネットワーキングシステムによって相互接続されています。さらに、ArmベースのCPUコアも各ノードに288基搭載されています。隣接する「Cluster」モジュールは1,300以上のノードから成り、SiPearl製のRhea1プロセッサを各ノードに2基ずつ備えています。このRhea1プロセッサは、80個のArm Neoverse Zeusコアを搭載しており、JUPITER全体で驚異的な計算能力を実現しています。AI性能では90エクサフロップス、FP64演算では毎秒100京回以上を達成する見込みです。また、51,000にも及ぶネットワーク接続は、地球上の全データトラフィックの3倍ものデータを伝送可能にし、約1エクサバイト(100万テラバイト)のストレージ容量は、あらゆる研究データを余裕で格納できます。

革新的なアーキテクチャ

JUPITERのアーキテクチャは、NVIDIAの最先端GPUであるGrace Hopper Superchipと、Arm Neoverse Zeusコアを搭載したSiPearlのRhea1プロセッサという、異なる高性能コンポーネントを巧みに組み合わせた点に特徴があります。これらはNVIDIAのQuantum-2 InfiniBandネットワークによって超高速で連携し、従来のスーパーコンピュータでは不可能だった複雑なシミュレーションや大規模データ解析を可能にします。

JUPITERが拓く科学技術の未来

気候変動予測の精度向上に貢献

JUPITERは、気候科学分野に革命をもたらす可能性があります。マックス・プランク気象研究所は、このスーパーコンピュータを活用して、気候変動や異常気象イベントの高精度なシミュレーションを実行する計画です。これにより、将来の気候変動に対する理解が深まり、より効果的かつ具体的な対策を講じるための、信頼性の高い科学的根拠が得られることが期待されます。

AIと医療分野の飛躍的進歩を支援

生成AIモデルの開発や、脳科学分野における最先端研究もJUPITERの活躍が期待される領域です。具体的には、HIV治療薬開発に向けたタンパク質組み立てのシミュレーション、素粒子物理学における未知の相互作用の解明、さらには医療画像処理から自動運転技術に至るまで、幅広い応用が可能な高品質ビデオモデル開発のための基盤技術開発などが進められます。これらの研究は、人類の健康増進や生活の質の向上に大きく貢献するでしょう。

欧州の科学技術競争力強化の起爆剤に

JUPITERの稼働は、欧州連合(EU)が推進する「デジタルデケード」目標達成に向けた重要なマイルストーンです。エクサスケールコンピューティング能力の獲得は、欧州の研究開発能力を飛躍的に向上させ、国際的な科学技術競争における欧州の地位を確固たるものにするでしょう。この最先端インフラは、欧州全体のイノベーションエコシステムを刺激し、新たな科学的発見と技術的ブレークスルーを生み出す原動力となることが期待されます。

画像: AIによる生成