
ロンドンの地下鉄が追悼のポピーで彩られる!駅一覧と記憶を継承する意義
毎年11月になると、ロンドンの街は追悼の意を表す赤いポピーで彩られます。これは、第一次世界大戦をはじめとする戦争で亡くなった兵士たちを追悼するための「リメンバランス・デー」(11月9日のリメンバランス・サンデーと11月11日の 停戦記念日)にちなんだものです。ロンドン交通局(TfL)は、この重要な日を記念して、地下鉄やオーバーグラウンドの駅の象徴的な円形シンボル(ラウンドル)に、一時的にポピーのデザインを施しています。
ポピー・ラウンドルの歴史と広がり
ポピー・ラウンドルが初めて登場したのは2018年。以来、毎年この時期にロンドンの交通網で見られるようになり、追悼のシンボルとして定着しました。2025年も、地下鉄の駅だけでなく、オーバーグラウンドの駅にもポピー・ラウンドルが登場します。さらに、TfLの車両(チューブ、電車、トラム、バス)やIFSクラウドケーブルカーにもポピーのデザインが施され、街全体で追悼の雰囲気を盛り上げています。特に8台のバスは、11月16日まで様々な路線を運行し、多くの人々に追悼のメッセージを伝えます。これらのポピーは、駅のラウンドルにビニールステッカーとして貼られています。
ポピー・ラウンドルが見られる駅一覧(2025年)
2025年、ポピー・ラウンドルが設置されているロンドン地下鉄およびオーバーグラウンドの駅は以下の通りです。
- ベイカーストリート (Baker Street)
- バラム (Balham)
- ベスナル・グリーン (Bethnal Green)
- バウンズ・グリーン (Bounds Green)
- カナリー・ワーフ (Canary Wharf)
- ハックニー・ダウンズ (Hackney Downs)
- ヘイチ・エンド (Hatch End)
- ホクストン (Hoxton)
- キングス・クロス・セント・パンクラス (King's Cross St Pancras)
- ロンドン・ブリッジ (London Bridge)
- シェパーズ・ブッシュ (Shepherd's Bush)
- サウス・トッテナム (South Tottenham)
- タワー・ヒル (Tower Hill)
- ウェストミンスター (Westminster)
バス停におけるポピー・ラウンドル(2025年)
バス停においても、以下の場所でポピー・ラウンドルを確認できます。
- ハマースミス (Hammersmith)
- ハロウ (Harrow)
- キングストン (Kingston)
- ターンパイク・レーン (Turnpike Lane)
- ヴォクソール (Vauxhall)
- ヴィクトリア・コーチ・ステーション (Victoria Coach Station)
公共交通機関が追悼の場となる意義
ロンドンの公共交通機関が、ポピー・ラウンドルを通じて追悼の意を表明することは、単なる装飾以上の深い意味を持っています。それは、日常生活で最も多くの人々が利用する空間が、歴史的な記憶を共有し、感謝の念を新たにするための公共の場となることを意味します。特に、毎日何百万人もの人々が行き交う地下鉄駅にポピーが掲げられることで、戦争の犠牲者への追悼と平和への願いが、意識的・無意識的に多くの人々に届けられます。
記憶の継承と次世代へのメッセージ
ポピー・ラウンドルは、戦争の記憶を風化させないための重要な役割を果たしています。特に若い世代にとっては、歴史的な出来事やその犠牲について学ぶきっかけとなります。公共交通機関という日常的な空間での視覚的なリマインダーは、学校教育だけでは伝えきれない、生きた記憶として人々の心に刻まれるでしょう。これにより、平和の尊さを再認識し、未来への責任を考える機会が提供されます。
都市のアイデンティティと共同体の絆
ロンドンがこのような形で追悼の意を示すことは、都市のアイデンティティの一部とも言えます。過去の犠牲の上に現在の平和があることを認識し、それを共有する行為は、ロンドン市民の間に共同体の絆を強める効果も期待できます。ポピー・ラウンドルは、異なる背景を持つ人々が、共通の記憶と価値観を共有する象徴となり、都市全体の連帯感を育む一助となるでしょう。