デルタ・センター、NHLとNBA両対応の革新的座席技術で観客体験を再定義

デルタ・センターは、その象徴的な急勾配の座席構成で知られており、NBAの試合ではコートとの近さを実現している。しかし、NHLのアイスホッケーの試合においては、リンクの長さの違いから、特に上層階の観客にとって視界が限られるという課題があった。この問題を解決するため、スミス・エンターテイメント・グループは、ステージライト社と協力し、前例のない座席リフターシステムを開発した。

テクノロジーによる多角的アプローチ

このトリプルアクション・シザーリフト・システムは、垂直方向と水平方向の両方に可動し、リンクとコートのエンドラインの間で12フィートの高低差を可能にする。これは、他のアリーナのリフターシステムの2倍の高さを誇る。このシステムにより、下層階のすべての座席からアイスリンク全体を完全に視認できるようになり、ゴール裏やトンネル周辺の収容能力も向上した。同時に、バスケットボールファンが愛する急勾配な座席体験を損なうことはない。

柔軟性と収容能力の向上

NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンが「ユニークで革命的」と評したこのシステムは、建物の特性に合わせた理想的な視界と親密な座席空間を創出する。アリーナフロアを2フィート上げることで、ホッケー用に68基、バスケットボール用に80基のリフトが設置され、野球用に28フィートに及ぶ29列の格納式座席も備えている。

スポーツイベント体験の未来

この革新的な座席システムは、これまで30年間ほとんど進化がなかったアリーナ技術に大きな進歩をもたらすものである。デルタ・センターのオーナーであるライアン・スミスは、この「トランスフォーマー」のようなシステムが、バスケットボール、ホッケー、コンサートなど、あらゆるイベントのニーズに対応できる多次元的なアプローチであると語っている。これにより、両チームのファンは、それぞれのスポーツに最適化された最高の観戦体験を享受できるようになる。

アリーナ設計における多目的性の重要性

デルタ・センターに導入された座席リフターシステムは、現代のアリーナ設計における多目的性の重要性を示唆している。一つの会場で異なるスポーツやイベントを高いレベルで提供するためには、柔軟なインフラが不可欠である。これは、単に収容人数を増やすだけでなく、各イベントにおける観客体験の質を最大化するという点でも重要である。

スポーツ業界への影響と今後の展望

この技術は、他の多目的アリーナにも応用される可能性があり、NHLとNBAのチームが同じ会場を共有する際の課題解決に貢献するかもしれない。特に、スペースの制約や視界の確保が難しい既存のアリーナにとって、このシステムは貴重なソリューションとなり得る。将来的には、より高度なカスタマイズが可能な座席システムが開発され、スポーツイベントの多様なニーズに応えていくことが期待される。

地域経済とエンターテイメント産業への波及効果

スミス・エンターテイメント・グループが主導するデルタ・センター周辺の再開発計画は、地域経済とエンターテイメント産業全体に大きな波及効果をもたらすだろう。新しいアリーナやライブ会場の建設は、ホテル、レストラン、その他の商業施設への投資を促進し、ダウンタウン・ソルトレイクシティの活性化に繋がる。これにより、スポーツイベントだけでなく、コンサートやその他のエンターテイメントが、地域全体の魅力を高める「カタパルト」となることが期待される。