オラクルの急騰、AIブームで1兆ドル企業への道は開けるか？ エリソン富豪の明暗

2025年10月24日、オラクル（ORCL）の株価は2%上昇し、285.72ドルに達しました。これは、最近の株価上昇の流れに続くもので、特にOpenAIとの大型契約が発表されて以降、同社の株価は目覚ましい回復を見せています。投資家は、この勢いが今後も続くのか、そしてオラクルが時価総額1兆ドルクラブに参入できるのかに注目しています。

オラクルの急成長を支えるAIとクラウド戦略

OpenAIとの巨額契約が牽引役

オラクルの株価急騰の最大の要因は、OpenAIとの間で結ばれた3000億ドル規模のクラウドコンピューティング契約です。この契約により、オラクルのクラウド事業は大幅な成長を遂げ、株価も大きく押し上げられました。2025年9月には、この契約発表により株価が一時36%も急騰し、1992年以来の大きな上昇率を記録しました。これにより、オラクルの市場時価総額は、現在約7980億ドルに達し、世界でもトップ15に入る企業へと成長しました。

AIインフラへの積極投資

オラクルは、AI関連のクラウドインフラへの投資を積極的に進めています。特に、自然エネルギーを利用したデータセンターの建設や、AIワークロードに対応するための最新鋭設備の導入に力を入れています。これらの取り組みは、企業顧客向けのAIサービスを拡充し、競合他社との差別化を図るための重要な戦略となっています。

アナリストの評価と今後の展望

多くの著名なアナリストは、オラクルのAI関連事業の成長性を高く評価しています。例えば、バンク・オブ・アメリカのアナリストは、OpenAIとの大型契約や好調な収益見通しを受けて、目標株価を368ドルに引き上げました。全体として、アナリストはオラクルのAIプラットフォームとクラウドサービスが、今後も収益と利益の加速を牽引すると見ており、1兆ドル企業への到達も現実的だと予測しています。

エリソン富豪の資産変動と市場の懸念

株価下落による資産減少

一方で、オラクルの共同創業者であるラリー・エリソン氏の資産は、最近の株価下落により一時的に約240億ドル減少しました。これは、彼の保有するオラクル株の約6.3%に相当します。エリソン氏の富の大部分はオラクル株に連動しており、株価の変動が直接的に彼の資産に影響を与えています。

過度な集中リスクへの懸念

アナリストの中には、オラクルの急成長がOpenAIという単一の大口顧客に依存しすぎている点に懸念を示す声もあります。OpenAIとの契約による将来の収益義務（RPO）は4550億ドルに達していますが、これが将来的にバブルとならないか、また、OpenAIが期待される収益を上げられなかった場合のリスクについて、一部で指摘されています。

AI時代におけるオラクルの戦略的価値

クラウドインフラの重要性の高まり

AI技術の急速な進化は、高性能なコンピューティングリソース、すなわちクラウドインフラの需要を爆発的に増加させています。オラクルは、OpenAIをはじめとするAI企業との提携を通じて、この需要を取り込もうとしています。特に、AIモデルのトレーニングや運用には膨大な計算能力が必要とされるため、オラクルのようなインフラ提供者の役割はますます重要になっています。

持続可能性と競争環境

オラクルがAIブームの恩恵を受け続けるためには、単一顧客への依存リスクを軽減し、多様な顧客層を開拓していく必要があります。また、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった既存の巨大クラウドプレイヤーとの激しい競争環境の中で、独自の強みを発揮し続けることが求められます。自然エネルギーを活用したデータセンターのような取り組みは、ESG（環境・社会・ガバテンンス）の観点からも評価される可能性があり、長期的な競争優位性を築く上で重要となるでしょう。

今後の注目点

オラクル投資家は、今後数四半期の株価動向、AIおよびクラウド契約による収益への影響、そして世界的なテクノロジー市場の状況を注視する必要があります。短期的な市場の変動は続く可能性もありますが、オラクルの長期的な成長ストーリーは依然として力強く、今後も目が離せない存在と言えるでしょう。