
ノーベル平和賞受賞者ナルゲス・モハンマディ氏、乱暴な逮捕後に体調不良を訴える - 支援者らが懸念示す
イランのノーベル平和賞受賞者であるナルゲス・モハンマディ氏が、先週の逮捕後、2度にわたり病院に搬送されていたことが支援者らによって明らかになりました。支援者らは、モハンマディ氏との電話でのやり取りから、彼女の身体的な状態を懸念しています。
モハンマディ氏逮捕の経緯と状況
逮捕の背景
モハンマディ氏は、弁護士コスロー・アリコルディ氏の追悼式典に出席するため、イラン東部の都市マシュハドを訪れていました。アリコルディ氏は今月初めに死亡が確認されています。式典の場で、モハンマディ氏は治安当局者によって襲われ、激しい暴行を受けた後、乱暴に逮捕されたと述べています。
支援者の声と国際社会の反応
モハンマディ氏の家族は、彼女から短い電話を受け、その中で逮捕時の状況と自身の体調について説明を受けました。彼女は、頭部や顔への打撃が激しく、その結果として2度病院に搬送されたと伝えています。家族は彼女の健康状態を深く憂慮しており、支援者らは「即時かつ無条件の解放」を求めています。ノーベル平和賞委員会も、この逮捕を「残忍」と非難し、イラン当局に対し、彼女の居場所と状態の確認、そして解放を強く求めています。
当局の発表と不明確な情報
マシュハドの検察官によると、モハンマディ氏を含む38人が式典で逮捕されました。逮捕容疑は「規範に違反するスローガンを叫ぶことを扇動した」とされています。しかし、モハンマディ氏自身は、逮捕時に「イスラエル政府との協力」で告発されたと述べており、当局からの公式な発表や詳細な情報提供は不明確なままです。彼女が現在どの治安当局に拘束されているのかも分かっていません。
イランにおける自由と人権の危機
深まる弾圧と活動家の置かれた状況
モハンマディ氏は、過去10年間の大半を獄中で過ごしており、2024年12月には医療目的で一時的に保釈されていました。しかし、保釈中も活動を続けていたことが、今回の逮捕につながったと考えられます。イランでは、女性が公の場でヒジャブを着用することが義務付けられていますが、逮捕時の映像では、モハンマディ氏が車の屋根に登り、群衆に向かって話している姿が捉えられています。この行動は、当局への抗議の意思表示とも受け取れます。
今後の展望と人権活動への影響
今回の事件は、イランにおける表現の自由と人権状況の深刻な悪化を浮き彫りにしています。著名な映画監督であるジャファル・パナヒ氏やモハンマド・ラスールロフ氏を含む多くの活動家や著名人たちが、モハンマディ氏らの解放を求める声明を発表しています。彼らは、イランの当局が、国民からの主権回復を通じてのみ、国の政治的・社会的行き詰まりを解決できると主張しています。モハンマディ氏のような人権活動家への弾圧が続く中、イラン国内外での人権擁護活動の行方が注視されます。
考察:抑圧下での希望の灯火
ノーベル平和賞受賞者であるナルゲス・モハンマディ氏の逮捕と、それに伴う健康不安は、イランにおける人権と自由の状況の厳しさを改めて示しています。しかし、彼女が逮捕の直前でさえ、追悼式典で人々に語りかけ、その後も家族との連絡を試みる姿勢は、抑圧的な状況下でも決して希望を失わない抵抗の精神を象徴しています。彼女の行動は、単なる個人的な勇気の表明に留まらず、イラン国内の多くの人々、そして国際社会に対して、自由と正義を求める声の重要性を訴えかけています。
支援の連鎖と国際社会の役割
モハンマディ氏の支援者や著名な映画監督たちが即時の解放を求める声明を発表したことは、国内および国際的な連帯の力を示しています。このような国際的な圧力は、イラン政府に対して、人権侵害に対する説明責任を果たすよう求める上で不可欠です。今後、国際社会がどのように連携し、モハンマディ氏を含む政治犯の解放と、イランにおける人権状況の改善に向けて具体的な行動を継続できるかが、重要な課題となります。彼女の健康状態と安否は、まさに国際社会の関心の的となっています。