
韓国次期FSC委員長候補、仮想通貨に「本源的価値なし」と断言 - 若年層の投資熱に冷や水か
韓国の次期FSC委員長候補、仮想通貨を「本源的価値なし」と批判
韓国の金融サービス委員会(FSC)の委員長候補である李億源(イ・オグォン)氏は、仮想通貨(暗号資産)について「極端な価格変動性があり、貨幣機能を持たず、本源的価値がない」と厳しく批判しました。この発言は、韓国国内で若年層を中心に仮想通貨への投資が拡大している状況下で行われました。
韓国における仮想通貨投資の現状と課題
若年層の仮想通貨への関心
韓国の仮想通貨取引所の利用者は1600万人を超え、総人口の30%以上に相当します。特に若年層の間で仮想通貨への投資が活発ですが、その動機には「一攫千金」を狙う側面も指摘されています。
李氏の仮想通貨に対する見解
李氏は、仮想通貨を預金や証券といった伝統的な金融商品とは異なり、「本源的価値がない」と述べました。その理由として、仮想通貨の価格変動の激しさを挙げ、価値の保存手段や交換媒体としての機能に疑問を呈しています。
年金基金による仮想通貨投資への懸念
李氏は、年金基金による仮想通貨への投資についても否定的な見解を示し、老後の安定した収入を保障するための年金資産を、高いボラティリティと投機性の高い仮想通貨に投資することへの広範な懸念を表明しました。
仮想通貨ETFとステーブルコインへの韓国当局のスタンス
仮想通貨ETFに対する慎重な姿勢
仮想通貨関連ETFについては、期待と懸念の両方があると李氏は認めつつも、グローバルな規制動向を注視し、国会議員らと協議しながら導入の可否や時期を検討する方針を示しました。
ステーブルコインとイノベーションの両立
ステーブルコインに関しては、イノベーションの機会を創出しつつ、適切なセーフガードを確保する方針を表明しました。これは、韓国の銀行がウォン連動型ステーブルコインの発行を準備しているとの報道とも関連しています。
仮想通貨関連ビジネスへの支援
韓国の中小ベンチャー企業部は、仮想通貨関連ビジネスがベンチャー企業として認定される際の制限を緩和する計画を発表しており、これは2018年以来、仮想通貨企業がベンチャー企業として認定されなかった状況からの大きな変化となります。
仮想通貨の「本源的価値」を巡る議論の今後
李億源氏の発言は、韓国における仮想通貨に対する公的な見解を示すものとして注目されます。仮想通貨のボラティリティや投機性に対する懸念は国際的にも共通する課題ですが、ブロックチェーン技術の将来性や、若年層の資産形成手段としての側面も考慮すべき点です。韓国当局が、イノベーションを促進しつつ、投資家保護をどのように両立させていくのか、その規制の舵取りが今後の仮想通貨市場に影響を与えるでしょう。特に、「本源的価値」という言葉の定義を巡る議論は、仮想通貨の社会的な位置づけを決定づける上で重要な論点となる可能性があります。