イタリア、SHEINに1億円超の罰金!「グリーンウォッシング」の実態とファストファッションの未来

イタリア、SHEINに1億円超の罰金!「グリーンウォッシング」の実態とファストファッションの未来

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ファストファッション最大手SHEIN、イタリアで巨額罰金

イタリア当局が、急速なトレンド追従と低価格で世界的に支持を集めるファストファッションブランドSHEINに対し、「グリーンウォッシング(環境配慮の偽装)」を理由に110万ユーロ(約1億8000万円)の罰金を科しました。これは、欧州連合(EU)域内でSHEINがグリーンウォッシングで罰金を科される2番目の事例となります。SHEINがアピールしていた「持続可能性」や「環境への配慮」が、実際には消費者を誤解させるものであったと判断された形です。

SHEINの「グリーンウォッシング」とは?イタリア当局の指摘内容

環境配慮を謳った「グリーン」プログラムの実態

SHEINは、製品の持続可能性を高めるための「RECURRING」プログラムや、環境負荷低減を目指す「SHEIN zero」といった取り組みをPRしていました。しかし、イタリアの市場競争・保証庁(AGCM)は、これらのアピールが具体性を欠き、消費者の誤解を招くものだと指摘。特に、環境に優しい素材の使用やリサイクルへの言及が、実際には限定的であったり、その影響が不明確であったことが問題視されました。

「エコ・フレンドリー」表示への疑問

同庁は、SHEINのウェブサイト上で一部商品に付けられていた「エコ・フレンドリー」といった表示についても、その根拠が不十分であると結論づけました。これらの表示は、消費者が環境に配慮した購買行動をとる際の判断基準となり得るため、その不正確さは消費者の権利を侵害する可能性があるとされています。

イタリアはEUで2番目の摘発国

今回のイタリアでの罰金は、昨年フランスがSHEINに対して同様の理由で罰金を科したのに続くものです。これは、EU全体としてファストファッション企業による環境広告の適正化を求めていく強い姿勢を示唆しています。欧州各国が、企業の環境アピールに対してより厳しい目を向けていることが浮き彫りになりました。

考察:SHEINへの罰金が示すファストファッションの「偽りの持続可能性」と今後の課題

「安かろう悪かろう」からの脱却、そして「見せかけ」への警戒

SHEINのビジネスモデルは、極めて短いサイクルで多様なデザインの衣料品を大量に、かつ安価に提供することにあります。これは、従来「安かろう悪かろう」と批判されてきたファストファッションの特性をさらに推し進めたものです。しかし、現代の消費者は環境意識の高まりから「サステナブル」な消費を求める傾向にあり、SHEINのような企業は、その需要に応えるために「グリーン」なイメージ戦略を強化せざるを得なくなっています。今回の罰金は、その「グリーン」なイメージ戦略が、実態を伴わない「見せかけ」であった場合に、厳しい目が向けられることを示しています。

「透明性」の欠如が招く信頼失墜、そして企業への期待

SHEINに対する罰金の背景には、そのサプライチェーンの透明性の欠如も指摘されることがあります。素材の調達から製造、物流に至るまで、環境負荷や労働環境に関する情報が不十分であることは、消費者からの信頼を得る上で大きな障害となります。今回の「グリーンウォッシング」の指摘は、単に環境配慮の表示が不適切だったというだけでなく、企業が自らの事業活動における環境・社会的な影響について、より誠実かつ具体的に情報開示を行う責任があることを改めて突きつけています。今後、SHEINを含むファストファッション企業には、消費者の期待に応えるための、より真摯な「透明性」の確保と、実質的な持続可能性への取り組みが求められるでしょう。

ファストファッションの「持続可能性」は可能なのか?

本件は、ファストファッションというビジネスモデルそのものが、環境負荷低減や持続可能性といった現代的な価値観と根本的に両立しうるのか、という問いを投げかけています。大量生産・大量消費を前提とする限り、どのような「グリーン」な取り組みも、その影響を完全に相殺することは難しいでしょう。消費者の意識変化も重要ですが、企業側には、より長期的視点に立った生産体制の見直しや、リサイクル・アップサイクルの促進、さらには「つくらない」という選択肢も含めたビジネスモデルの再考が求められていると言えます。

画像: AIによる生成