建設廃棄物がスタイリッシュな日用品に！ベルギー発「Earthstone」プロジェクトがソウルデザインアワードを制覇

土壌を収集し、素材へ加工

ベルギーのデザインスタジオEarthstoneが、建設現場から発生する土壌をアップサイクルし、スタイリッシュな日用品へと生まれ変わらせる革新的なプロジェクト「Earthstone」で、2025年ソウルデザインアワードのトップ賞を受賞しました。このプロジェクトは、廃棄物と見なされがちな素材を価値あるデザイン製品に変えることで、サーキュラーエコノミーの原則を日常生活に組み込む可能性を示しています。まず、都市部の建設現場から排出される土壌を収集します。通常であれば埋め立て処分されるこの土壌を、Earthstoneは洗浄、乾燥、圧縮といった工程を経て、成形可能な素材へと加工します。このプロセスにより、素材は安定性を増し、様々な形状に加工できるようになります。

多様な日用品への転換

加工された土壌素材は、プランター、コースター、照明器具、家具の部品など、日常的に使用される様々なアイテムへと成形されます。それぞれの製品は、元となった土壌のユニークな質感と色合いを保持しており、使用者は素材の産地である土地との繋がりを、触れることで感じることができます。

持続可能性とデザインの融合

環境課題へのアプローチ

Earthstoneプロジェクトは、複数の環境課題に対処しています。第一に、埋立地の負荷を増大させる建設廃棄物の量を削減します。第二に、新たな原材料の需要を減らし、採掘や製造に伴う二酸化炭素排出量を削減します。第三に、地域からの素材調達を促進することで、サプライチェーンを短縮し、地域社会のレジリエンス（回復力）を支援します。

デザインによる価値創造

しばしば見過ごされがちな土壌という資源を価値あるものに変えることで、このプロジェクトは「廃棄物」に対する私たちの認識を再構築し、責任ある消費についての広範な議論を促します。製品は限定版のエココンシャスなアクセサリーとして、ブティックやデザインフェア、オンラインプラットフォームで販売されており、その自然な質感や廃棄物削減への貢献が、消費者に高く評価されています。

建設廃棄物から生まれる新たなデザインの可能性

デザイン教育への影響

Earthstoneの成功は、他のデザイナーにも素材のアップサイクルの探求を促すきっかけとなっています。このプロジェクトは、デザイン教育におけるケーススタディとして、思慮深い素材選定と加工がいかに美的価値と環境的利益の両方を生み出すかを示す好例となっています。デザイン学校やサステナビリティカンファレンスでは、Earthstoneチームが講師を務めるワークショップや講演会が開催され、次世代のクリエイターへとその手法が広められています。

今後の展望とスケールアップ

今後は、リサイクルガラスや再生木材など、他の地域由来の副産物も材料として実験していく計画です。最終的な目標は、世界中の自治体や建設会社が採用できるような、スケールアップ可能な生産モデルを開発することであり、都市部の掘削現場を創造的な再利用のハブへと変えることを目指しています。Earthstoneの「土から製品へ」という道のりは、デザインの美しさと具体的な環境への影響を融合させた説得力のある物語を提供し、持続可能性、地域性、そして丁寧な職人技を物語る製品への需要の高まりを示唆しています。