年商4700億円超！中国・南京「デジプラザ」が仕掛ける、富裕層を惹きつける「体験型」高級小売戦略の全貌
デジプラザが牽引する高級小売の新たな潮流
高級ブランド市場の逆風とデジプラザの異例の成功
近年、中国の高級ブランド市場は、経済の不確実性や消費者の嗜好の変化により、全体的に減速傾向にありました。しかし、江蘇省南京市にあるデジプラザは、この逆風をものともせず、2024年には245億人民元（約34億ドル）という巨額の売上を記録しました。これは、同モールが市場全体のトレンドに逆行し、独自の戦略で成功を収めていることを示しています。
デジプラザの成功を支える３つの柱
1. ドラマティックな空間演出による没入体験
デジプラザは、顧客に忘れられない体験を提供するために、空間デザインに徹底的にこだわっています。特に、SNSで話題となった「バイラル・バスルーム」に代表されるように、アート作品のようなトイレ空間や、フォトジェニックなインスタレーションを随所に設置。これにより、来店客は「訪れること自体が目的」となるような、エンターテイメント性の高いショッピング体験を享受できます。
2. アートとショッピングの融合
同モールは、高級ブランドの品揃えだけでなく、アートギャラリーや期間限定のポップアップ展示なども積極的に展開しています。これにより、高感度な富裕層の知的好奇心を刺激し、文化的な満足感も提供。単なる消費の場ではなく、洗練されたライフスタイルを提案するコミュニティとしての役割も果たしています。
3. ターゲット層に響くローカライズ戦略
デジプラザは、南京という地域特性と、そこにおける富裕層のニーズを深く理解し、戦略をローカライズしています。現地の文化や嗜好に合わせたブランドの選定やイベントの実施は、顧客との強いエンゲージメントを生み出す要因となっています。
デジプラザの戦略から読み解く、次世代型商業施設のあり方
「モノ消費」から「コト消費」へのシフトを加速させるデジプラザ
デジプラザの成功は、現代の消費者が単に高品質な製品を求めるだけでなく、そこから得られる体験や感動、自己表現の機会を重視するようになっていることを明確に示しています。特に、高級消費層は、その購買力だけでなく、情報発信力も兼ね備えているため、彼らが「体験」に価値を見出すことは、ブランドや商業施設にとって極めて重要な示唆を与えます。
SNS映えする空間デザインの重要性
デジプラザが仕掛けた「バイラル・バスルーム」のような、SNSで共有したくなるようなユニークで創造的な空間は、口コミによる強力なマーケティング効果を生み出しています。これは、デジタルネイティブ世代の消費行動と、リアルな体験の融合が、現代の商業施設にとって不可欠であることを物語っています。単に美しいだけでなく、話題性や共有したくなる仕掛けが、集客に大きく貢献するのです。
富裕層を惹きつけるための「体験」への投資
デジプラザの事例は、高級商業施設が直面する課題に対する一つの有効な解決策を提示しています。それは、家賃収入やテナントによる売上だけでなく、施設自体が提供する「体験価値」に投資することの重要性です。アート展示、エンターテイメント性のある空間、パーソナルなサービスなどを通じて、顧客に忘れられない思い出を提供することが、リピート率の向上とブランドロイヤリティの強化につながるでしょう。今後、多くの商業施設がデジプラザの戦略を参考に、単なる「買い物をする場所」から「体験を創造する場所」へと進化していくことが予想されます。