
イーロン・マスク、テスラ製AIチップ「AI5」の設計成功を受け「Dojo3」スーパーコンピュータプロジェクトを再始動へ
イーロン・マスク氏は、自身のソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)で、テスラが開発中のAIチップ「AI5」の設計が良好な状態になったことを受け、「Dojo3」スーパーコンピュータプロジェクトを再開したことを明らかにしました。このプロジェクトの進展は、Nvidiaに頼らない、テスラによる完全自社製ハードウェアのみを搭載した初のスーパーコンピュータの実現に向けた重要な一歩となります。
テスラ、自社製AIチップでスーパーコンピュータ開発を加速
Dojo3プロジェクトの再開
イーロン・マスク氏はXでの投稿で、AI5チップの設計が「good shape(良好な状態)」にあると述べ、これによりテスラはリソースをDojo3プロジェクトに再配分できるようになったと説明しました。また、マスク氏は、これらのチップ製造を支援するために、さらに人材を募集していることも明らかにしました。この発表は、テスラが2025年末にDojoのウェハーレベルプロセッサ計画を中止したというニュースに続くものです。Dojo3はいくつかの改良を経てきましたが、マスク氏の最新の発言によると、Dojo3はテスラが完全に自社製ハードウェアのみで構築する最初のスーパーコンピュータとなる予定です。以前のバージョン、例えばDojo2では、自社製チップとNvidiaのAI GPUを組み合わせて使用していました。
AI5チップの性能とロードマップ
マスク氏によると、Dojo3はAI5/AI6またはAI7チップを使用する予定で、後者2つはマスク氏の新しい9ヶ月ごとのロードマップに含まれています。AI5は展開準備がほぼ整っており、テスラの最も競争力のあるチップであり、単一チップでHopperクラスのパフォーマンス、2つのチップが連携することでBlackwellクラスのパフォーマンスを発揮するとされています。このチップは、H100の700WやBlackwellと比較して、約250Wというはるかに低い消費電力で動作します。Dojo3の開発は、テスラが9ヶ月ごとに新しいチップをリリースする新しいサイクルと直接連動しており、AI6チップから開始されます。AI7は、AI6の段階的なアップグレードになる可能性が高いと推測されています。なぜなら、9ヶ月ごとに全く新しいアーキテクチャを構築することは、不可能ではないにしても、極めて困難だからです。
考察:テスラの自社開発戦略とAI分野への野望
「No Nvidia」戦略の真意
テスラがNvidiaに頼らず、完全自社製ハードウェアでスーパーコンピュータを構築するという決断は、AI分野におけるテスラの野心と、サプライチェーンの自律化を目指す戦略を強く示唆しています。NvidiaのGPUは現在AI計算のデファクトスタンダードですが、その供給の不安定さや高コストは、大規模なAI開発を目指す企業にとって大きな課題となっています。テスラがAI5チップでNvidiaのHopperクラスに匹敵し、2基連携でBlackwellクラスに迫る性能を、より低い消費電力とコストで実現できれば、AIハードウェア市場におけるゲームチェンジャーとなる可能性があります。
「宇宙AI」への挑戦と未来展望
マスク氏は、Dojo3が「宇宙ベースのAIコンピューティング」に使用される可能性にも言及しています。これは、テスラが単に自動車の自動運転やロボット工学(Optimus)のためだけでなく、より広範なAIアプリケーション、さらには宇宙開発分野への進出も視野に入れていることを示唆します。AIチップの性能向上と低消費電力化は、宇宙空間のようなリソースが限られた環境でのAI活用を可能にする鍵となります。テスラがこの分野で成功を収めれば、AI技術の応用範囲はさらに拡大し、新たなフロンティアが開拓されることになるでしょう。
テスラ製スーパーコンピュータの課題と可能性
過去のDojoプロジェクトの失敗や遅延を踏まえ、Dojo3の成功はまだ保証されているわけではありません。しかし、AI5チップの設計成功は大きな前進であり、マスク氏の強力なリーダーシップとテスラのエンジニアリング能力があれば、競争力のあるスーパーコンピュータを開発できる可能性は十分にあります。Nvidiaが市場を席巻する中で、テスラが独自の道を切り拓き、AIコンピューティングの未来にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。