
2025年、深海は記録的熱量を吸収:広島型原爆12発分のエネルギーが毎秒海へ
2025年、世界の海洋は観測史上前例のない量の熱エネルギーを吸収し、過去9年連続で最高記録を更新しました。これは、地球温暖化による余剰熱の大部分が海洋に蓄積されていることを示しており、気候変動の深刻な影響を浮き彫りにしています。
海洋熱量の過去最高記録とその影響
海洋熱量とは
海洋熱量とは、地球の大気中に閉じ込められた温室効果ガスによる余剰熱のうち、海洋が蓄積した熱エネルギーの総量を指します。これは、地球の気候システムが熱的に均衡を失っている直接的な証拠であり、気候変動の長期的な指標として重要視されています。2025年には、海洋は23ゼタジュール(1ゼタジュールは1兆の10億倍)もの熱エネルギーを吸収しました。これは、毎秒広島型原爆が12発爆発するのと同じエネルギー量に相当します。
観測データと記録更新
この分析は、NOAA国立環境情報センター、欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス、中国科学院などの海洋観測データを基に行われました。研究者たちは、海洋の表層2,000メートルまでの熱量データを評価し、2025年が過去のどの年よりも多くの熱を吸収したことを確認しました。これは、2024年に吸収された16ゼタジュールを大幅に上回る数値です。
記録的な水温上昇
海面水温も記録的な高水準に達しました。2025年の全球年平均海面水温は、1981年から2010年の平均値より約0.5℃高く、観測史上3番目に高い記録となりました。特に、熱吸収が顕著だった地域は、熱帯および南大西洋、地中海、北インド洋、南極海です。
過去最高の海洋熱量が示唆すること
地球システムへの影響
海洋の温暖化は、地球システム全体に広範な影響を及ぼします。具体的には、海洋熱波の頻度と強度を増加させ、大気循環を変化させ、さらには地球全体の降水パターンを左右します。2025年の記録的な熱吸収は、ハリケーン・メリッサによるジャマイカ・キューバでの甚大な被害、パキスタンでのモンスーン豪雨、米国中西部での深刻な洪水など、異常気象の激化に拍車をかけたと考えられます。
今後の気候変動への展望
海洋が吸収する熱量の増加は、今後も続くと予測されます。この傾向が続けば、異常気象の頻発や強度の増加、海面上昇の加速など、気候変動の影響はさらに深刻化するでしょう。根本的な対策として、温室効果ガス排出量の削減が喫緊の課題となります。海洋の熱吸収能力には限界があり、その限界を超えた場合の影響は計り知れません。
科学的知見の重要性
今回の研究結果は、気候変動の現状を正確に理解するための科学的モニタリングと分析の重要性を改めて示しています。正確なデータに基づいた科学的知見は、効果的な気候政策の策定と実施に不可欠です。今後も継続的な観測と研究を通じて、気候変動のメカニズム解明と影響予測を進めることが求められます。