
なぜブータンはビットコインを売却するのか?保有量70%減が示唆する国家戦略の真意
ヒマラヤの小国ブータンが、国家として保有していたビットコインを急速に売却しています。かつては豊富にあった保有量が、ここ数ヶ月でピーク時から約70%も減少したことが明らかになり、暗号資産市場で注目を集めています。なぜ同国は積み上げた資産を手放しているのか、その背景にある真意と国家としての戦略を深掘りします。
ブータンのビットコイン売却:現状の要約
急速に進む保有資産の圧縮
2026年4月9日、ブータン政府および政府系ファンド「ドゥルク・ホールディング&インベストメンツ」に関連するウォレットから、約319.7 BTC(約2,280万ドル相当)が送金されました。Arkham Intelligenceのデータによると、2026年の開始以来、同国は2億ドル以上のビットコインを売却または外部へ移動させていると推測されています。
保有量の推移と現状
ブータンのビットコイン保有量は、2024年10月のピーク時には13,000 BTCを超えていました。しかし、今回の売却を経て保有残高は3,954 BTCまで減少しています。これは、わずか1年半余りで保有資産の約70%を処分したことを意味します。
マイニングの現状
ブータンは、国内の豊富な水力発電を利用した低コストなビットコインマイニングで資産を蓄積してきました。しかし、ここ最近では新たなマイニングによる大きな流入は確認されておらず、蓄積フェーズから収穫(売却)フェーズへ戦略が移行している可能性が高いといえます。
国家プロジェクトへの資金転換
保有資産を売却する一方で、ブータンは暗号資産への関与を放棄したわけではありません。2025年12月には、特別経済特区「ゲレフ・マインドフルネス・シティ(GMC)」の開発に最大10,000 BTCを割り当てる計画を発表しています。今回の売却益は、こうした将来的なデジタル経済圏構築のための資金として活用されていると見られます。
国家主導のビットコイン戦略が突きつける課題
「保有」から「実利用」へのパラダイムシフト
ブータンの事例は、ビットコインを単なる「価値保存手段(デジタル・ゴールド)」として保有し続ける段階から、国家の経済発展を牽引するための「資本」として積極的に活用する段階へ、政府の戦略が転換したことを示唆しています。彼らにとってビットコインは「ただ持っているもの」ではなく、「投資を呼び込み、未来の都市を作り出すための資金源」なのです。
国家経済におけるビットコインのボラティリティリスク
一方で、国家規模のプロジェクトをビットコインというボラティリティの高い資産に依存することの危うさも浮き彫りになっています。保有量を維持しながらプロジェクトを推進する難易度は非常に高く、資金調達のタイミングを市場の価格変動に左右されざるを得ません。ブータンのケースは、国家が暗号資産を準備金として扱う際に直面する「出口戦略」の難しさを、世界に対して先駆的に提示しているといえるでしょう。