
英国、EV購入補助金を復活させるも「対象者はごく一部」の衝撃!その背景と狙いを徹底解説
英国におけるEV補助金再導入の概要
新たな補助金制度の内容
英国政府は、EVの普及を促進する目的で、新たにEV購入補助金制度を導入しました。この制度により、対象となるEVを購入する際に、最大3,750ポンド(約72万円)の補助金が受けられます。これは、以前に存在した補助金制度が終了して以来、久しぶりの再開となります。
厳格化された対象条件
しかし、今回の補助金制度は、以前の制度と比較して対象となる車両の価格帯に厳しい制限が課されています。具体的には、車両価格が35,000ポンド(約670万円)以下であることが条件とされており、高価格帯のEVは補助金の対象外となります。この制限により、市場に出回っている多くのEVモデルが、この新たな補助金制度の恩恵を受けられないことが予想されます。
EV需要低迷の背景
英国におけるEV需要は、補助金制度の終了や経済状況の影響などにより、一時的に低迷していました。政府としては、この補助金再導入によってEV購入へのハードルを下げ、国内のEVシフトを加速させたい意図があります。しかし、補助金の対象が限定的であることから、その効果には疑問の声も上がっています。
EV補助金再導入が示唆する英国のEV戦略とその課題
財政的制約とEV普及の現実
今回の補助金制度の厳格な価格制限は、英国政府の財政状況とEV普及推進との間のジレンマを示唆しています。大規模な補助金は政府の財政負担が大きくなるため、限定的な予算内で効果を最大化しようとする現実的な判断と言えるでしょう。しかし、これは同時に、高価格帯のEVが普及の中心となるであろう市場の現実と乖離している可能性もはらんでいます。
消費者のEV選択肢と補助金のミスマッチ
多くの消費者がEVに移行する上で、航続距離や充電インフラの整備と並んで、車両価格は依然として重要な決定要因です。補助金の対象が限定されることで、本来であれば補助金によって購入しやすくなるはずのEVが、依然として高嶺の花となってしまう消費者が多く生まれる可能性があります。これは、EV普及の「ミッシングリンク」となり、国民全体のEVシフトを鈍化させるリスクを孕んでいます。
補助金頼りからの脱却と市場メカニズムの重要性
長期的には、補助金に頼りすぎず、EVの製造コスト低下や技術革新によって、補助金なしでも消費者がEVを選べる市場環境を構築することが重要です。今回の限定的な補助金は、その過渡期における政府のテコ入れ策と見ることができますが、補助金終了後の持続的なEV普及戦略が問われることになるでしょう。英国政府は、補助金だけでなく、充電インフラの拡充やEV技術の研究開発支援など、多角的なアプローチでEVシフトを推進していく必要があります。