服は「消耗品」から「愛着品」へ。エシカル消費を加速させる「快適性の持続」という新戦略

服は「消耗品」から「愛着品」へ。エシカル消費を加速させる「快適性の持続」という新戦略

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ファッション業界が抱える大量消費・大量廃棄という課題に対し、明治大学の研究チームが新たな突破口を見出しました。消費者がファッションを「消耗品」と見なす現在のトレンドを逆転させ、いかにして衣服を長く大切に使う「半耐久財」へと戻していくのか。本記事では、環境配慮を「我慢」ではなく「消費者自身のメリット」へと転換する、画期的なコンセプト「快適性の持続」について解説します。

ファッションを「半耐久財」に引き戻す研究結果

消費者はファッションを消耗品と認識している

明治大学商学部加藤拓巳准教授らの共同研究によると、消費者のファッションに対するロイヤルティを分析した結果、快適性やデザイン、価格が重視される一方で、耐久性は有意な評価を受けていないことが判明しました。これは、消費者が衣服を長持ちさせるべき「半耐久財」ではなく、使い捨て可能な「消耗品」として捉えている現状を浮き彫りにしています。

環境配慮だけでは消費者は動かない

これまで多くのサステナビリティ活動では、環境保護や人権保護といった「利他的な動機」が訴求されてきました。しかし、研究結果では、そうしたコンセプトよりも「ファストファッション(利便性・安さ)」の方が依然として高い魅力を持っていることが分かりました。消費者は社会的責任の重要性を認識していても、実際の購入行動には結びついていないのが実態です。

「快適性の持続」という新たな価値提案

そこで研究チームが導き出した答えが「快適性の持続」というコンセプトです。これは、肌触りや着心地の良さが長く続く衣服を提案することで、機能的に長く使えるだけでなく、愛着を育むことを目的としています。ランダム化比較試験の結果、この「快適性の持続」は、従来型の環境訴求だけでなく、ファストファッションの魅力をも上回る評価を獲得しました。

消費者価値から読み解く今後のファッション産業の展望

エシカル消費を「利己的」な選択に変える重要性

本研究の最も重要な示唆は、環境への貢献を「副次的効果」として位置づけた点にあります。これまでのエシカル消費の普及は、消費者に環境負荷低減という「努力」や「犠牲」を求めていた側面があります。しかし、消費者が本来求める「快適さ」を長続きさせるという「個人的メリット(利己的動機)」を前面に押し出すことで、結果的に環境負荷を減らすというアプローチは、消費者の行動変容を促す極めて強力な手法となり得ます。

「快適さの劣化」が大量消費の引き金になっている

多くの衣服が洗濯や着用により短期間で快適さを失うことが、消費者が服を使い捨てにする一因となっています。ファッション業界は、単に丈夫な服を作るだけでなく、「購入時の感動や肌触りがどれだけ持続するか」を新たな品質基準として競い合う必要があります。この「快適性の持続」こそが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を機能させるための、次世代ファッションブランドのコア競争力となるでしょう。

画像: AIによる生成