
プライベートエクイティ傘下の航空会社、ICE送還便で長期化・非人道化する実態
元記事は、ICE(移民・関税執行局)のチャーター便による国外追放が、長期間化し、より非人道的なものになっている現状を告発しています。特に、プライベートエクイティファームであるストーンピークに買収されたオムニ・エア・インターナショナルが、その利益を拡大させている実態に焦点を当てています。元記事の証言者であるメリッサ・トラン氏の体験談を軸に、送還プロセスにおける身体拘束、食料・水不足、そして精神的な苦痛が詳細に描かれています。購入からわずか数ヶ月で、オムニ社のICE関連業務が4倍に増加し、飛行時間が長くなることで、乗客への苦痛が増大していることが指摘されています。
ICE送還便の実態:乗客の証言とフライトデータが示す過酷な現実
送還プロセスにおける身体的・精神的苦痛
メリッサ・トラン氏は、送還便に乗せられる直前、手首と足首を腰に巻かれた鎖で拘束されました。10時間以上にもわたり、飲食物を与えられず、7時間はバスの座席に座ったままでした。彼女は、数多くの国籍やアクセントを持つ人々が、180人以上の男性と共に約10名の女性としてコーチ席に詰め込まれていたと証言しています。訪れる国への到着予定時刻も、乗客に正確には伝えられず、不安を煽る状況でした。
ストーンピークによる買収とオムニ社の急拡大
オムニ・エア・インターナショナルは、800億ドルの運用資産を持つストーンピークによって2025年4月に買収されました。ストーンピークは、インフラ投資を専門とする企業であり、そのCEOであるマイケル・ドーレル氏は、自身も移民であったにも関わらず、買収後、オムニ社のICE業務を大幅に拡大させました。買収に関する情報は少なく、当初は貨物輸送や地上サービス、航空機リースが中心とされていましたが、実際にはICEの長期・長距離送還便を担う主要な航空会社となっていたことが明らかになっています。
人権侵害の疑い:送還先での強制送還と不安定な状況
オムニ社は、ICEによって国外退去処分を受けた人々を、アフリカやアジアの出身国へ送還していますが、その中には有効な亡命申請や、帰国後の安全に対する懸念を持つ人々も含まれています。例えば、ガーナへの送還者の中には、米国での滞在年数が長い人々や、避難民としての保護を受けるべき人々も含まれており、ガーナ政府によって母国への再送還や、身元不明のまま隣国への越境を強いられるケースも報告されています。また、ロシアへの送還者からは、帰国後に当局に拘束され、行方不明になったという証言もあります。
ICE送還便の長期化がもたらす人権問題と企業の社会的責任
24時間超のフライト増加:拘束時間の長期化と健康リスク
ストーンピークによる買収以降、24時間を超える送還便の割合が顕著に増加しています。2024年には6便のみだった24時間超のフライトが、買収後8ヶ月間で31便に増加しました。これにより、乗客は長時間にわたり拘束され、身体的な苦痛(腫れ、あざ、神経損傷、血栓症のリスク増大など)や、衛生状態の悪化、精神的なストレスに晒されています。医療専門家は、このような長時間の拘束は、人道的とは言えず、拷問に等しいと指摘しています。
企業利益と人権侵害の倫理的ジレンマ
オムニ社は、ICEからの高額な契約金によって利益を上げていますが、そのビジネスモデルは、人権侵害や非人道的な扱いを伴っています。ICEや国土安全保障省は、身体拘束が「安全と福祉を確保するための不可欠な措置」と主張していますが、その実態は、乗客の尊厳を傷つけるものです。プライベートエクイティファームが、このような事業から利益を得ることの倫理的な問題が提起されており、投資家である年金基金などへの情報開示と説明責任が求められています。
今後の展望:透明性と監視の強化の必要性
ICEの送還便、特にプライベートエクイティが関与するフライトの透明性は極めて低いです。ストーンピークのような企業が、人権侵害のリスクを伴う事業から利益を得ている現状に対し、社会的な監視と説明責任の強化が不可欠です。投資家からの情報開示要求や、国際的な人権基準の遵守、そしてより人道的な送還プロセスの確立に向けた取り組みが、今後ますます重要になってくると考えられます。