
インド国道公社、高速道路建設増加でもGHG排出量削減に成功!リサイクル材活用が鍵
インド高速道路建設の功績:成長と環境配慮の両立へ
インドのインフラ開発を牽引するインド国道公社(NHAI)は、2023-24年度のサステナビリティ・レポートにおいて、高速道路建設量の増加にもかかわらず、温室効果ガス(GHG)排出量を削減するという顕著な成果を発表しました。これは、持続可能な開発目標達成に向けた重要な一歩であり、今後のインフラ開発のあり方に大きな影響を与える可能性があります。
NHAIのサステナビリティ戦略:数値が示す進歩
リサイクル・再利用材の積極的な活用
NHAIは、2023-24年度に約6億3100万トンものリサイクル・再利用材を国道建設に活用しました。これには、火力発電所から排出される石炭灰(フライアッシュ)、プラスチック廃棄物、再生アスファルトなどが含まれます。これらの素材を積極的に利用することで、天然資源の消費抑制と廃棄物の削減に大きく貢献しています。
GHG排出量削減の達成
高速道路の建設面積が前年比で15%増加したにも関わらず、NHAIはGHG排出量を削減することに成功しました。これは、前述のリサイクル材の活用に加え、建設プロセスにおける効率化や新たな技術の導入などが複合的に作用した結果と考えられます。
再生可能エネルギー導入への取り組み
レポートでは、NHAIが建設する高速道路沿いに太陽光発電施設を設置するなど、再生可能エネルギーの導入にも力を入れていることが示されています。これにより、建設および維持管理におけるエネルギー消費由来のGHG排出量削減を目指しています。
環境影響評価とモニタリングの強化
全てのプロジェクトにおいて環境影響評価(EIA)を実施し、その結果を継続的にモニタリングする体制を強化しています。これにより、開発行為が環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能なインフラ整備を推進しています。
成長と環境保護の両立:インドのインフラ開発が見据える未来
サステナビリティが経済成長の推進力に
インド経済は急速な成長を遂げており、それに伴いインフラ投資も拡大しています。NHAIの今回の成果は、経済成長と環境保護が両立可能であることを具体的に示しています。リサイクル材の積極的な活用は、単なる環境対策に留まらず、建設コストの削減や新たな産業の創出にも繋がり得るため、経済的なメリットも大きいと言えます。
「グリーンインフラ」へのパラダイムシフト
今回のNHAIの取り組みは、従来の「開発=環境負荷」という図式を覆し、「グリーンインフラ」へのパラダイムシフトを促すものです。今後、インド国内だけでなく、世界中のインフラ開発においても、リサイクル材の活用や再生可能エネルギーの導入は、標準的な手法として定着していく可能性があります。
課題と今後の展望
一方で、リサイクル材の品質管理や安定供給体制の構築、そして新たなリサイクル技術の開発は、引き続き重要な課題です。NHAIがこの勢いを維持し、さらにGHG排出量削減を進めるためには、これらの課題に継続的に取り組むことが求められます。技術革新と政策支援が一体となることで、インドのインフラ開発は持続可能な未来へとさらに前進していくでしょう。