
Razer Core X V2登場!Thunderbolt 5対応も「電源&拡張機能は別売り」の衝撃価格と狙い
Razerが、待望のeGPUエンクロージャー「Core X V2」を発表しました。Thunderbolt 5に対応し、最新GPUの性能を最大限に引き出す可能性を秘めたこの新製品は、多くのPCユーザーの注目を集めています。しかし、その仕様には電源ユニットやI/Oポートが別売りとなるなど、従来のCore Xシリーズから大きく変更された点があり、価格面でも注意が必要です。本記事では、Razer Core X V2の最新情報と、その変更がユーザーに与える影響について詳しく解説します。
Razer Core X V2の最新情報
Thunderbolt 5対応と高速帯域幅
Razer Core X V2の最大の特徴は、次世代インターフェースであるThunderbolt 5に対応している点です。これにより、最大80Gbpsの双方向帯域幅を実現し、GeForce RTX 4090のようなハイエンドGPUの性能をノートPCでも最大限に引き出すことが可能になります。これは、従来規格のThunderbolt 4と比較して大幅な帯域幅の拡大であり、eGPUのボトルネック解消に大きく貢献します。
GPU搭載能力と充電機能
Core X V2は、最大4スロット厚のGPUを搭載できる広々とした内部スペースを備えています。これにより、大型の最新GPUも問題なく収容できます。さらに、USB-Cポート経由で最大140Wの給電能力も備えており、ノートPCへの充電とeGPUとしての機能提供を同時に行うことができます。これは、外出先で高性能なグラフィック処理が必要なユーザーにとって、非常に便利な機能と言えるでしょう。
変更点:電源ユニットとI/Oポートの別売り化
一方で、Core X V2では従来のCore Xシリーズから仕様が大きく変更されました。最も注目すべきは、エンクロージャー本体に電源ユニット(PSU)とLANポート、USBポートなどのI/O拡張機能が内蔵されなくなった点です。これらの機能は、別売りの「Razer Thunderbolt 5 Dock」を接続することで初めて利用可能になります。
macOSサポートの廃止
また、残念ながらRazer Core X V2はmacOSのサポートを廃止しました。これは、MacユーザーにとってeGPU環境を構築する上で大きな制約となります。Windows PCユーザーが主なターゲットとなることが示唆されています。
価格設定と総コスト
Core X V2単体の価格は400ドル(約6万円)ですが、電源ユニットやI/Oポートの機能が必要な場合は、別途390ドル(約5.8万円)のThunderbolt 5 Dockを購入する必要があります。これにより、eGPU環境をフルに活用しようとすると、総額で約790ドル(約11.8万円)となり、従来のCore Xシリーズと比較しても高価なセットアップとなります。
考察:Razer Core X V2が示唆するeGPUの未来とユーザーへの課題
モジュール化による選択肢の拡大とコスト増のジレンマ
Razer Core X V2のモジュール化戦略は、ユーザーに「必要な機能だけを選択できる」という柔軟性を提供することを意図していると考えられます。GPUを搭載するだけのシンプルなエンクロージャーとして安価に提供し、電源や拡張機能は必要に応じて追加購入させることで、より幅広いニーズに対応しようとしています。しかし、結果としてフルスペックを求めるユーザーの総コストは上昇しており、これはeGPU市場における「高機能化」と「手頃さ」のバランスをどう取るかという、永遠の課題を浮き彫りにしています。
Thunderbolt 5普及への布石と、周辺機器エコシステムの重要性
Thunderbolt 5への対応は、次世代PCインターフェースの普及を後押しする重要な一歩と言えます。RazerがこのタイミングでCore X V2を投入することは、Thunderbolt 5対応デバイスのエコシステム構築に貢献する意図があると考えられます。GPUエンクロージャーだけでなく、Thunderbolt 5対応のドックやハブが今後数多く登場することで、PCの拡張性はさらに高まるでしょう。この流れは、単なるeGPUにとどまらず、ハイスペックなワークステーションやゲーミング環境を、よりポータブルかつ柔軟に構築できるようになる可能性を示唆しています。
「eGPU」から「拡張コンピューティングプラットフォーム」へ?
電源やI/O機能までを別筐体にしたCore X V2は、もはや単なる「GPUを外付けする箱」ではなく、Thunderbolt 5を介してPCと接続する「拡張コンピューティングプラットフォーム」と捉えるべきかもしれません。このアプローチは、将来的にはGPUだけでなく、AIアクセラレータやストレージ、さらには特殊なI/Oカードなどをモジュール式で追加していく、より汎用的な拡張システムへと進化していく可能性も秘めています。ただし、そのためには、各モジュール間の連携やソフトウェア的な最適化が不可欠であり、Razerがどのようなエコシステムを構築していくのか、今後の動向が注目されます。