AIヒントツールがプログラミング学習を変革:学生の能動的活用と未来への示唆

AIヒントツールがプログラミング学習を変革:学生の能動的活用と未来への示唆

キャリアAIプログラミング教育オンライン学習教育テクノロジー学習支援

JetBrains Academyでは、教育者がIDE(統合開発環境)内で直接コースを作成できるシステムを導入しています。これにより、学生は理論学習から実践的なコーディングまでを同一環境で行え、IDEに慣れ親しみ、実務で通用するスキルを早期に習得することが可能です。このIDEに、AI搭載のヒントツールが追加されました。このツールは、静的解析やコード品質チェックとLLM(大規模言語モデル)を組み合わせ、学生一人ひとりに合わせたパーソナライズされたヒントを提供することで、学習プロセスを支援します。

研究の焦点:学生のAIヒントツールとのインタラクション

JetBrainsの研究チームは、学生がこのAIヒントツールとどのように関わっているのか、そして、あまり役立たないヒントに直面した際にどのような戦略を用いるのかを明らかにすることを目的として研究を行いました。研究では、まず学生のヒントシステムとの全インタラクションデータを収集・分析し、次に、一部の学生にインタビューを実施して、定量的分析を補完しました。

学生の行動パターンの発見

研究では、学生のヒント利用セッションを「ポジティブ(ヒントを受け入れた)」、「ニュートラル(ヒントを確認したが、すぐに受け入れなかった)」、「ネガティブ(エラーが発生した、またはヒントをキャンセルした)」の3種類に分類しました。

  • ポジティブなセッションは約28%を占めました。
  • ニュートラルなセッションは約40%を占め、学生がヒントの内容を理解・分析したが、すぐにコードに適用しなかったケースが多く見られました。
  • ネガティブなセッションは約27%を占め、そのほとんどがエラーによるものでした。特筆すべきは、エラーが発生しても学生は諦めずに再度ヒントを生成しようと試みる傾向があることでした。

ニュートラルシナリオにおける学生の戦略

インタビュー調査により、ニュートラルシナリオにおける学生のユニークな戦略が明らかになりました。

  • 学生は、ヒントコードをそのまま適用するのではなく、学習効果を高めるためにコードを部分的に手動で修正したり、ヒントの一部だけを利用したりすることがわかりました。これは、学生がヒントを鵜呑みにせず、自身の理解に合わせて最適化していることを示唆しています。
  • 学生は、複数のヒントや自身のコードを組み合わせて、試行錯誤しながら最終的な解決策にたどり着く戦略をとることがわかりました。これは、学生が能動的な問題解決者であることを示しており、LLM時代に不可欠な批判的思考能力の表れとも言えます。

AIヒントツールが示す、学習体験の未来

JetBrainsの研究チームによるこの調査は、AIヒントツールが単なるエラー修正機能を超え、学生の能動的な学習プロセスを支援する可能性を示唆しています。学生がヒントを自己の学習スタイルに合わせてカスタマイズし、複数の情報を統合して問題を解決しようとする姿勢は、AIが学習者の自律性と批判的思考を促進する未来を予感させます。今後のAIヒントツールの開発においては、学生のこうした多様な学習戦略をサポートし、よりシームレスな学習体験を提供することが期待されます。例えば、複数のヒントを同時に提示したり、学生がコードを外部にコピー&ペーストせずに、IDE内でヒントの断片を容易に統合できるような機能が考えられます。これは、AIが学習者の「受動的なアシスタント」から「能動的な学習パートナー」へと進化していく可能性を示唆しています。

画像: AIによる生成