スーダン：モスクへの無差別ドローン攻撃、70人死亡の悲劇 - 戦争の非人道性が浮き彫りに

スーダン北ダルフール州エル・ファッシル市近郊のモスクで、金曜日の礼拝中にドローン攻撃が発生し、少なくとも70人の礼拝者が死亡したと、国軍および現地の援助関係者が発表しました。この攻撃は、同国で激化する軍（SAF）と準軍事組織「即応支援部隊（RSF）」との戦闘に関連するものとみられています。

攻撃の概要と被害状況

悲劇の発生

現地時間金曜日の早朝、礼拝が行われていたモスクがドローンによる攻撃を受けました。この攻撃により、モスクは完全に破壊され、多数の犠牲者が出ました。援助関係者によると、瓦礫の下にさらに遺体が埋まっている可能性があり、死者数は増加する見込みです。攻撃を受けたモスクは、ダフララ・ウーラ通りに位置していたと、民間人の虐待を監視する組織が伝えています。

国軍の声明

スーダン軍は声明で、この攻撃を「反乱民兵のモットー」と非難し、RSFによる不当な民間人攻撃が国際社会の目の前で続いていると述べ、犠牲者への哀悼の意を表しました。RSFはこの攻撃について公式な声明を発表していません。

エル・ファッシル市の状況

この攻撃は、エル・ファッシル市でここ数週間続く激しい戦闘の中で発生しました。同市は、国軍とRSFの双方にとって戦略的に重要な地点であり、数ヶ月にわたり包囲されています。RSFは現在、市周辺の複数の地域を支配下に置いており、アブ・シュク難民キャンプなど、多くの避難民キャンプも攻撃の標的となっています。

紛争の拡大と人道的危機

長期化する内戦

2023年4月に始まった軍とRSFの戦闘は、事実上の内戦へと発展し、これまでに少なくとも4万人以上が死亡したと推定されています（WHOによる）。1200万人が国内外への避難を余儀なくされ、多くの人々が飢餓の危機に瀕しています。

難民キャンプへの攻撃

エル・ファッシル近郊のアブ・シュク難民キャンプは、45万人の避難民を受け入れており、戦争中繰り返し攻撃を受けてきました。イェール大学の衛星画像分析によると、今週初めにもこの地域でドローン活動や爆発の影響を示す兆候が確認されています。RSFは、このキャンプを軍に対する攻撃の拠点としても利用していると報告されています。

人権侵害の報告

国連人権高等弁務官事務所（OHCHR）の報告によると、今年1月から6月にかけて、少なくとも3,384人の民間人が死亡し、そのほとんどがダルフール地域で発生しました。RSFによる攻撃には、性暴力、住民の恣意的な処刑、避難民キャンプや隠れ家への攻撃などが含まれるとされています。

考察：紛争下における「聖域」の崩壊

非戦闘員への攻撃という非人道性

今回、礼拝の場であるモスクが攻撃された事実は、スーダン紛争における非人道性の深刻さを示しています。戦争行為においては、国際人道法に基づき、民間施設や非戦闘員は保護されるべき対象です。しかし、この攻撃は、宗教施設さえも標的となりうるという、紛争がもたらす悲劇的な現実を浮き彫りにしました。これは、単なる軍事目標への攻撃ではなく、人々の精神的な支柱をも破壊しようとする行為であり、極めて非難されるべきものです。

情報へのアクセスと現実の把握の困難さ

エル・ファッシル市は包囲下にあり、多くの国際機関が安全上のリスクから撤退しているため、攻撃に関する詳細な情報を得ることは困難です。このような状況は、紛争の実態を正確に把握し、国際社会が迅速かつ効果的な対応を取ることをさらに難しくしています。信頼できる情報へのアクセスが制限される中で、犠牲者の正確な数や被害状況の確認は極めて重要であり、情報収集と発信の重要性が改めて浮き彫りになります。

今後の展望と国際社会の役割

この悲劇的な事件は、スーダンにおける人道的危機の深刻さを改めて国際社会に訴えかけるものです。紛争の早期終結に向けた外交努力の強化はもちろんのこと、民間人の保護、特に脆弱な立場にある人々への支援を拡充することが喫緊の課題です。また、戦争犯罪に該当する行為については、責任追及を進めることも、将来的な同様の事件を防ぐために不可欠となるでしょう。国際社会は、スーダンにおける平和と安定の回復に向けて、より一層の関与を深める必要があります。