廃バイクパーツがアートに!ホンダの「pause」シリーズが示す、静止が生み出す新たな価値

廃バイクパーツがアートに!ホンダの「pause」シリーズが示す、静止が生み出す新たな価値

ライフスタイルホンダバイク部品アップサイクルコンクリート彫刻

デザイナーの宮田茂也氏による「pause」シリーズは、製造中止となったホンダのバイク用パーツをコンクリートで固め、機能的なオブジェへとアップサイクルするプロジェクトです。このシリーズは、本来動きを生み出すために設計されたパーツを意図的に静止させることで、動きと静止の関係性を探求しています。機械的な要素は本来の文脈から切り離され、新しい機能を持つ家庭用品として再導入されます。

素材の再解釈:動きから静止への転換

静的な素材による動きの封じ込め

自動車やバイクの部品は、通常、動きの中で機能するように設計されていますが、コンクリートは構造システムを支え、封じ込める静的な素材です。この「pause」シリーズでは、精密に加工されたパーツを固体コンクリートのベースに埋め込むことで、これらの対立する条件が組み合わされます。これにより、本来の目的は停止され、代替的な用途が出現します。一旦固定されると、部品は隠された機械システムから、その素材の質、製造精度、そして形状的特徴を際立たせる、目に見える要素へと変化します。

日常への再編:デザインとサステナビリティの融合

このプロジェクトは、バイクのパーツを鏡、花瓶、ペン立て、フォトフレームといった日常的なオブジェクトとして再配置します。各オブジェは手作業で制作され、宮田氏自身が金型開発から最終的な鋳造まで全工程を監修しています。このシリーズは、ホンダのアップサイクルイニシアチブ「uppar」の一環として開発されました。これは、廃止された車両部品を自動車以外の用途に再利用することで、サステナビリティへの取り組みを推進するものです。

限定生産と価値の再定義

オリジナルの部品の入手可能性が限られているため、すべてのオブジェクトは少量限定で生産されています。例えば、ミラーはVT1300CXのパーツを使用して2つのエディション、花瓶はCBR250RRのコンポーネントを使用して11のエディションが制作されています。ペン立てとフォトフレームは、それぞれRC213V-Sのパーツを使用して3つのエディションが限定生産されています。デザインとアートの中間に位置する「pause」は、静止を通じて価値、機能、素材のアイデンティティがどのように再定義されるかを考察します。動きを停止させ、工学的なコンポーネントを家庭的な文脈で再構成することで、このプロジェクトは素材の連続性、精度、再解釈を重視した、リユースの代替的なアプローチを提案しています。

「pause」シリーズが示唆する未来:アップサイクルデザインの新たな地平

廃棄物への認識を変革する創造性

宮田氏の「pause」シリーズは、単なる廃材利用を超え、デザインとサステナビリティの新たな地平を切り開いています。製造中止となったバイクパーツという、通常は廃棄される運命にある素材に、コンクリートという静的な素材を組み合わせることで、予想外の美しさと機能性を見出しました。これは、廃棄物に対する私たちの認識を根本から問い直し、創造性を発揮することで、あらゆる素材が新たな価値を持つ可能性を示唆しています。

現代社会が求める「静寂」と「機能美」の体現

現代社会は、常に動きと変化を求められますが、その一方で、静寂や内省への希求も高まっています。バイクの「動き」を象徴するパーツを、あえて「静止」させることで生まれたオブジェは、この時代の気分を反映していると言えるでしょう。パーツ本来の機能が停止されたとしても、その精巧な造形美や素材感は失われるどころか、コンクリートと融合することで新たな「機能美」として昇華されています。これは、テクノロジーの進化が加速する中で、物質の本質的な価値や静的な美しさへの再評価が進む現代において、非常に示唆に富むアプローチです。

大手企業におけるサステナビリティ推進の先進事例

ホンダの「uppar」プロジェクトの一環として生まれたこのシリーズは、大手企業がサステナビリティを推進する上で、デザインがいかに強力なツールとなり得るかを示しています。限定生産という希少性も相まって、これらのオブジェクトは単なる日用品ではなく、所有する喜びをもたらすコレクタブルなアートピースとなっています。今後、このような「pause」シリーズのような、高度なデザイン性とサステナビリティを両立させたアップサイクル製品が、新たなデザインのスタンダードとして確立されていくことが期待されます。

画像: AIによる生成