なぜ9割が「ペットと離れない」と回答?災害時に家族を守るための新しい挑戦

なぜ9割が「ペットと離れない」と回答?災害時に家族を守るための新しい挑戦

社会経済ローカルコミュニティペット防災PetSmartCharities米国赤十字社社会貢献

6月の「ペット防災月間」に合わせ、PetSmart Charitiesはアメリカ赤十字社とのパートナーシップを更新し、今後3年間で280万ドル(約4億円超)の助成を行うことを発表しました。災害時にペットを理由に避難を躊躇する家族を減らし、人とペットが共に安全を確保できる社会を目指すこの取り組みについて、その重要性を解説します。

災害対応におけるペット支援の現状と支援内容

「ペットと一緒」が避難の分かれ道

調査によると、ペットを飼っている人の90%が「ペットを連れていけないなら避難しない」と回答しています。この現実を踏まえ、本プロジェクトでは、避難所においてペットと家族が離れ離れになる事態を回避することを最優先事項としています。

5つの重点支援領域

今回の助成金は、以下の5つの分野を中心に活用され、全米規模でのペット同伴避難の体制を強化します。

  • 避難所でのペット用物資の即時提供と、フードやリードを含む「ペット・コンフォート・キット」の配布
  • 赤十字社のケースマネジメントを通じた、避難中のペット関連費用に対する経済的支援
  • 「ペット防災月間」を通じた準備教育と、赤十字アプリでのペット可避難所情報の拡充
  • 災害対応スタッフへの専門的なペット対応トレーニングの実施と体制構築
  • 災害データシステムを更新し、ペット対応避難所の可視化や分析を強化

実績に基づく継続的な取り組み

過去3年間の連携では、すでに14,000泊以上のペット同伴避難を実現し、専門のペット・リエゾン(調整官)を14名育成するなど、災害時のペット支援における確かな成果を上げています。

「家族の一員」としての防災の重要性と今後の展望

災害時における「心理的・身体的」セーフティネットの確立

本件が強調しているのは、ペットが単なる「所有物」ではなく「家族」であるという認識の変化です。ペットを置いて避難できないという心理的障壁を取り除くことは、飼い主自身の生命を守ることに直結します。赤十字のような公的な救助機関が、民間団体と協力して避難の障壁を減らす仕組みを構築することは、災害大国における防災モデルとして極めて重要です。

今後の展望:個別対応からシステム化への移行

今後は、一時的な支援にとどまらず、災害対応システム全体にペット受入計画が標準的に組み込まれる「ペット・インクルーシブ(ペット受け入れ前提)」な社会基盤の整備が求められます。この取り組みが成功すれば、個々の避難所の努力に頼るのではなく、どの地域でもペットと共に安心して避難できるという「標準的な防災」が確立されるでしょう。この流れは、将来的に他の公共機関や自治体にも波及し、すべての家族がペットと切り離されることなく避難できる未来を拓く重要な一歩となるはずです。

画像: AIによる生成