
バーモント州、6万5千人が利用する食料支援で「ジャンクフード禁止」を検討 - 健康か権利か、賛否両論
バーモント州では、州最大の食料支援プログラムである「3SquaresVT」の受給者が、栄養価の低い食品の購入を制限される可能性が出てきました。これは、連邦政府からの補助金申請の一環として、スコット知事が行政指導したものです。約65,000人のバーモント州民が登録しているこのプログラムにおいて、購入制限の導入が検討されており、州は受給者の食生活改善を目指していますが、食品安全保障団体からは、プログラムの尊厳を損ない、実効性も疑問視する声が上がっています。
導入される可能性のある制限と州の狙い
購入制限の具体的内容
現在、どのような食品が「栄養価の低い食品」として購入禁止の対象となるかの具体的な品目や基準は、まだ決定されていません。他州の事例では、コロラド州のようにソフトドリンクのみを対象とするケースや、アイオワ州のようにレモネードや多くのグラノーラバーを除外するような厳しい税制を導入するケースがあります。バーモント州当局は、受給者がより健康的な食品を選択できるようになることを期待しています。
連邦政府の動向と州の判断
近年、連邦政府は、食料支援プログラムにおける購入制限に関する州からの申請に対し、以前よりも迅速に承認する傾向にあります。これは、行政負担や健康効果に関する不確実性を考慮し、慎重な姿勢を示していた以前の方針からの変化を示唆しています。バーモント州では、この食料支援規制の変更は、今後、公開フィードバック期間を経て進められる見込みですが、立法府の承認は必要ありません。
食品安全保障団体からの懸念と批判
尊厳と自己決定権への影響
食品安全保障を支援する団体からは、この政策に対する批判の声が上がっています。団体側は、この制限がプログラムの尊厳を損なうものであり、受給者が自分で食料を選択する権利を侵害すると主張しています。また、受給者が自らの意思で食生活を管理する能力を過小評価していると受け取られかねず、プログラムへの信頼や利用意欲を低下させるリスクも孕んでいます。
実効性と行政・小売業者への負担
他州の事例を見ると、このような制限はその実効性や対象となる食品の線引きの難しさから、「非合理的」な結果を招く可能性が指摘されています。また、小売業者にとっては、レジでの購入可否判断という新たな負担が生じ、連邦政府による違反店舗への処分も示唆されており、サプライチェーン全体への影響も考慮する必要があります。
今後の展望と本質的な課題
栄養改善と自己決定権のバランス
バーモント州が食料支援プログラムにおけるジャンクフード購入禁止を検討していることは、公衆衛生の観点からは理解できる側面もあります。しかし、この施策は、食料支援の本来の目的である「食料へのアクセス確保」という側面と、受給者の「自己決定権の尊重」との間で、慎重なバランスが求められます。健康増進という目的を達成するためには、より包括的で、受給者のエンパワーメントにつながるようなアプローチ、例えば、健康的な食品へのアクセスを経済的に支援するプログラムの拡充などが、より効果的であると考えられます。
食料問題の本質へのアプローチ
この政策は、食料支援における「質」の問題に焦点を当てていますが、食料問題の本質は、単に購入できる食品の種類を制限することにとどまりません。食料へのアクセスそのものの困難さ、特に健康的な食品の価格高騰といった根本的な課題への取り組みが、より重要であると言えます。例えば、地域農業との連携強化や、食品ロス削減と低価格での提供を両立させる仕組みの構築などが、長期的な解決策となり得るでしょう。