気候変動の最前線:ノバスコシア州の消防士たちが直面する現実と未来への備え

気候変動の最前線:ノバスコシア州の消防士たちが直面する現実と未来への備え

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ブルックリン消防署は、ハリファックスから約40分の場所に位置し、1960年代に地域住民によって設立されました。現在約70名のメンバーを擁し、自治体からの資金援助を受け、多くの消防署よりも充実した装備を持っています。しかし、その活動内容は近年、気候変動の影響により劇的に変化しています。

年間の出動件数の増加

ブルックリン消防署の署長であるブレット・テタニッシュ氏は、35年間消防活動に携わってきましたが、その間に年間の出動件数は約75件から約500件へと急増しました。この増加は、人口増加も一因ですが、近年は気候変動による影響が大きいと指摘されています。カナダ消防長官協会の2023年の報告書でも、住宅火災だけでなく、緊急医療対応、車両救助、そして「異常な気候災害」による出動件数の増加が指摘されており、ブルックリン消防署の状況はカナダ全体に共通する課題であることを示唆しています。

山火事への対応と新たな装備の導入

2023年5月、ブルックリン地域は記録的な乾燥と高温に見舞われ、大規模な山火事が発生しました。ブルックリン消防署は、消火活動のためにハ​​リファックス近郊へ出動しましたが、その際、カルガリーやバンクーバーでしか見られないような光景を目にしたと、副署長のローガン・ホープ氏は語ります。この山火事では151棟の家屋が焼失し、ブルックリン消防署のメンバーは3日間、燃え盛る炎と戦いました。この経験から、同署はカリフォルニアやカナダ西部で長年使用されているスプリンクラー防護システムを導入。しかし、「馬鹿げている」という声もあったといいます。しかし、2025年の記録的な干ばつによる山火事では、このシステムが約90棟の構造物を守り、その有効性を証明しました。

異常な豪雨と洪水への対応

山火事の記憶も冷めやらぬ2023年7月22日、ノバスコシア州は記録的な豪雨に見舞われ、地域は未曽有の洪水に見舞われました。ブルックリン消防署は、浸水した地下室の救助から始まり、濁流に飲み込まれそうになる車両や家屋、そして人々を救助しました。副署長のホープ氏は、女性を救助中に自身も濁流に流されるという危険な体験をしました。この洪水では、ブルックリン地域だけでも4人が死亡し、気候変動によって極端な豪雨が増加するリスクが高まっていることを痛感させられました。

気候変動時代における消防署の未来

ブルックリン消防署が直面する課題は、単なる消火活動の増加にとどまりません。度重なる過酷な災害対応は、隊員たちの精神的な負担も増大させています。洪水で危険な目に遭ったホープ氏は、精神的な不調に苦しみ、「もう辞めたい」と感じたこともあったと語ります。しかし、そのような状況下でも、新たな訓練や装備への投資を通じて、未来への備えを進めています。

ボランティア消防署の持続可能性

カナダには約9万人のボランティア消防士がおり、全消防力の約70%を占めています。ブルックリン消防署のような小規模な地域社会では、ボランティアの存在が不可欠です。しかし、気候変動による災害の激化は、ボランティアの負担を著しく増加させており、その持続可能性が問われています。テタニッシュ署長は、「今年の夏のような状況は、私たちの部署にとって持続可能ではない」と述べており、国や州レベルでの支援体制の強化が急務であることを示唆しています。

地域社会と個人の役割

ブルックリン消防署のメンバーは、住民一人ひとりの意識改革と行動が、災害対応の負担軽減につながると考えています。ホープ氏は、避難指示に従うこと、そして訓練を受けていないことに手を出すことを控えるよう呼びかけています。また、テタニッシュ署長は、FireSmart Canadaのようなプログラムを活用し、住宅や敷地を火災から守るための対策を講じることの重要性を強調しています。さらに、地域社会全体で互いに助け合い、協力していくことの必要性を訴えています。

今後の展望と課題

世界気象機関は、2050年までに山火事のリスクが30%増加すると予測しています。カナダ消防長官協会の報告書では、連邦政府に対し、山火事などの圧力に対処するため、消防サービスとの連携を強化することを推奨しています。ブルックリン消防署の経験は、気候変動がもたらす現実的な脅威と、それに立ち向かう地域社会の努力を示しています。今後は、より効果的な防災・減災策の推進、ボランティア消防士への支援強化、そして地域社会全体の意識向上が、持続可能な未来を築くための鍵となるでしょう。

画像: AIによる生成