
インド政府、中国企業との提携にメス!Dixonの合弁事業も「プレスノート3」で審査対象に - その影響と背景とは?
インド政府、中国企業との提携にメス!Dixonの合弁事業も「プレスノート3」で審査対象に - その影響と背景とは?
インド政府が、同国の電子機器受託製造大手Dixon Technologiesが中国企業と設立または提携する合弁事業に対し、「プレスノート3」の規則に基づいた政府の審査を強化する方針を固めました。この動きは、インド国内における外国投資、特に中国からの投資に対する警戒感の高まりを反映したものと考えられます。Dixonは中国企業との提携を通じて事業拡大を目指していましたが、今回の政府の姿勢により、その計画に影響が出る可能性があります。
インド政府、中国企業との合弁事業への監視を強化
インド政府は、Dixon Technologiesが中国企業と結んだ最近の提携案件について、詳細な審査を行うことを決定しました。特に、重慶玉海(Chongqing Yuhai)との精密部品製造における合弁事業、および昆山Qテクノロジー(Kunshan Q Technology)のインド法人に対する過半数株式取得の意向が、政府の注視対象となっています。
Dixonの対中国投資計画
Dixon Technologiesは、中国の重慶玉海との間で、精密部品分野における合弁事業を計画しています。また、中国に本社を置く昆山Qテクノロジーのインド事業における過半数株式の取得も目論んでいます。これらの提携は、Dixonがサプライチェーンの強化や技術力の向上を目指す戦略の一環と見られます。
「プレスノート3」とは?
「プレスノート3」とは、インド政府が2020年に発表した、隣接国からの投資に対する規制を強化する政策指針です。主に、インドと陸上で国境を接する国からの投資に対して、政府の承認を必要とするように定めており、これはインド国内の企業への影響や国家安全保障上の観点から導入されました。中国からの投資が対象となるケースが多く、今回のDixonの件もこの規則に則って審査されることになります。
審査強化の背景
インド政府が中国企業との提携案件に神経を尖らせる背景には、インドと中国の間の地政学的な緊張関係があります。また、インド国内産業の育成と、潜在的な経済的・安全保障上のリスクを管理したいという意図も伺えます。特に、中国が世界的なサプライチェーンにおいてその影響力を増す中、インドは国内製造業の強化と同時に、外国からの投資が自国の国益に沿うものであるかを慎重に判断しようとしています。
中国との経済関係におけるインドの戦略的判断
今回のDixonの事例は、インドが中国との経済関係において、過去の協力関係から一歩進んで、より厳格で戦略的なアプローチを取ろうとしていることを示唆しています。経済成長と国家安全保障のバランスを取りながら、自国の産業基盤を強化していくインドの姿勢が浮き彫りになっています。
「バイ・インディア」政策との関連性
インド政府は、「メイク・イン・インディア」や「生産連動型インセンティブ(PLI)」スキームなどの政策を推進し、国内製造業の振興を図っています。中国企業との提携が、これらの国内産業育成政策とどのように整合性を取るのか、あるいは逆に阻害要因とならないのか、政府は慎重に見極める必要があります。今回の審査強化は、国内企業が中国の技術や資本を活用する際に、政府の監督下で適切に行われることを保証しようとする動きとも言えます。
今後のインドにおける外国投資の行方
Dixonの案件を皮切りに、今後、中国企業との提携や投資案件に対して、インド政府の審査がより厳格化される可能性があります。これにより、インド市場への進出を目指す中国企業にとっては、これまで以上に政府の承認プロセスが障壁となることが予想されます。一方で、インド政府は、自国の成長戦略に合致する形での外国投資は引き続き歓迎する姿勢を示すと考えられ、投資家はインドの政策動向を注意深く監視する必要があるでしょう。