
コロナ禍で急増した医学部生のスマホ依存・依存症・不眠:その実態と影響
医学部生のスマホ利用と睡眠問題の実態
パンデミックによるスマホ利用の増加
COVID-19パンデミックの発生以降、学生、特に医学部生の間でスマートフォンの使用時間が顕著に増加しました。自宅で過ごす時間が増えたことや、オンライン授業への移行などが、この利用時間増加の背景にあると考えられます。特に、就寝前のスマートフォンの使用は、多くの学生にとって日常的な習慣となりました。
スマホ依存と依存症のリスク評価
スマートフォンの長時間利用、特に就寝前の利用は、依存や依存症のリスクを高めることが指摘されています。本研究では、医学部生におけるスマートフォンの使用パターンと、依存傾向との関連性を評価しました。これは、デジタルデバイスへの過度な依存が、学生の精神的・身体的健康に与える影響を理解する上で重要です。
睡眠の質への影響:不眠と日中の眠気
スマートフォンの使用、特にブルーライトの発光は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、入眠困難や睡眠の質の低下を引き起こす可能性があります。医学部生の間で報告された不眠や日中の過度な眠気は、パンデミック下のライフスタイルの変化とスマートフォンの使用習慣の増加と密接に関連していることが示唆されました。
性別や学年による影響の違い
研究では、スマートフォンの依存傾向や睡眠問題に、性別や学年によっても違いが見られる可能性が示唆されました。これらの要因がどのように相互作用し、個々の学生の健康状態に影響を与えているのかを分析することは、より的確な支援策を講じる上で不可欠です。
パンデミック下のスマホ利用が示唆する今後の課題
デジタルウェルビーイングの重要性とその啓発
本研究結果は、パンデミックのような社会全体のストレスが高まる状況下において、学生のデジタルウェルビーイング(デジタルデバイスとの健全な付き合い方)をいかに維持・向上させるかが、教育機関にとって重要な課題であることを示しています。単に利用時間を制限するだけでなく、デジタルリテラシー教育や、メンタルヘルスサポートと連携した包括的なアプローチが求められます。
オンライン学習環境と健康管理の両立
COVID-19を経て、オンライン学習は教育の一環として定着しつつあります。しかし、その利便性の裏側で、学生の健康、特に睡眠や依存傾向への配慮が不可欠です。大学側は、オンライン学習の設計段階から、学生の心身の健康を損なわないような配慮(例:適切な休憩時間の確保、過度な画面視聴を避ける工夫)を取り入れる必要があります。
将来の医療従事者への影響と予防策
医学部生は将来、医療従事者となる人材です。彼らの健康状態は、将来の医療提供体制にも影響を及ぼしかねません。パンデミック中に見られたスマホ依存や睡眠問題への対策は、単に学生個人の健康問題に留まらず、将来の医療システムの持続可能性という観点からも、極めて重要な課題と言えるでしょう。早期からの予防策や、依存傾向に対する介入プログラムの構築が望まれます。