Doomスタジオのid Softwareで165人が「ウォール・トゥ・ウォール」労働組合を結成:ゲーム業界の労働運動が加速

Doomスタジオのid Softwareで165人が「ウォール・トゥ・ウォール」労働組合を結成:ゲーム業界の労働運動が加速

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DoomやQuakeといった人気ゲームを開発するid Softwareで、165人の従業員が「ウォール・トゥ・ウォール」労働組合を結成しました。これは、2023年に300人のZeniMax品質保証スタッフが組合を結成して以来、ゲーム業界における労働運動の広がりを示す最新の動きです。

id Softwareにおける労働組合結成の背景

Communications Workers of America(CWA)によると、id Softwareの従業員は、開発者、アーティスト、プログラマーなど、幅広い職種から構成されています。この組合結成は、2022年にMicrosoftとCWAの間で合意された労働組合中立協定に基づき、Microsoftによって既に承認されています。

組合結成の推進力

id SoftwareのプロデューサーでありCWAの組織委員でもあるアンドリュー・ウィリス氏は、業界幹部による一方的な職場変更に対抗するため、開発者全体の団結が不可欠であると述べています。また、id SoftwareのリードサービスプログラマーでありCWA委員のクリス・ヘイズ氏は、リモートワークが「特権ではなく必要性」であり、健康、家族、アクセシビリティの観点から、経営陣による一方的なオフィス回帰政策に反対する理由であることを強調しました。

業界全体の労働運動

CWAは、大規模な業界全体でのレイオフ、突然の長時間労働(クランチ)、不当な賃金などが、開発者間の労働組合結成を後押ししていると指摘しています。Microsoft傘下で組合を結成した労働者は、現在約4,000人に達しています。

今後の展望と業界への影響

CWAのロナルド・スワッガーティ会長は、Microsoftと協力して、従業員のスキル、創造性、献身を反映した契約交渉を進める意向を示しています。このid Softwareの動きは、ゲーム業界全体における労働条件改善への意識の高まりを象徴しており、今後、他のスタジオでも同様の動きが加速する可能性があります。

リモートワークの重要性

id Softwareの従業員がリモートワークの継続を組合結成の理由の一つとして挙げている点は、現代の労働環境における柔軟な働き方の重要性を示唆しています。特に、健康やアクセシビリティへの配慮からリモートワークを必要とする従業員にとって、その権利が尊重されるべきであるという認識が広まっています。これは、単なる福利厚生ではなく、生産性や従業員の幸福度を維持するための不可欠な要素として捉えられています。

労働組合の社会へのメッセージ

The Game Awards前には、CWAが主導する「業界横断的な労働組合」のメンバーが、閉鎖されたスタジオや企業の利益優先主義によって失われた創造性を非難する抗議活動を行いました。これは、ゲーム業界が単なるエンターテイメント産業に留まらず、そこで働く人々の権利と創造性が正当に評価されるべきであるという、社会全体への強いメッセージとなっています。

画像: AIによる生成