
トランプ政権のEPA、気候汚染情報の「知る権利」を制限か? 報告プログラム廃止の衝撃
トランプ政権下での環境保護庁(EPA)による温室効果ガス排出量報告プログラムの廃止計画は、気候変動対策における「知る権利」を脅かす重大な懸念事項となっています。この計画は、主要排出企業からのデータ収集を停止し、公衆が気候汚染の実態を把握する手段を奪うものです。本記事では、このEPAの計画の背景と影響、そして気候正義の観点からこの問題を深く掘り下げていきます。
主要排出企業とその動向
トップ排出企業は依然として電力会社
現在も、化石燃料を燃焼させて発電する電力会社が、温室効果ガス排出量のトップを占めています。Vistra Energy、Southern Company、Duke Energyなどがその代表例であり、これらの企業は米国全体の気候変動への貢献の約4%を占めています。
石油・石油化学業界の排出量
電力会社に次いで、Exxon Mobilのような大手石油精製・石油化学企業が主要な排出源となっています。ただし、これは直接的な施設からの排出量のみを考慮したものであり、燃料が経済にもたらす排出量は含まれていません。
排出量と人種差別の関連性
温室効果ガス排出量の多い企業、特にテキサス州やルイジアナ州に拠点を置く企業では、有色人種が近隣に居住している割合が高いことが指摘されています。これは、排出される温室効果ガスに伴う硫黄酸化物、窒素酸化物、粒子状物質などの「コ・ポリュータント」が、これらの地域住民の健康に深刻な影響を与える可能性を示唆しています。
州レベルでの排出量と規制の動き
テキサス州やルイジアナ州のような石油関連産業が盛んな州では、排出量が多くなっています。しかし、ニューヨーク州やバーモント州では、気候変動による影響に対する企業の責任を問う「気候スーパーファンド法」が制定されており、企業の排出削減に向けたインセンティブとなる可能性があります。
情報公開の縮小がもたらす「暗闇」
情報公開の縮小がもたらす影響
EPAの温室効果ガス排出量報告プログラムの廃止は、気候変動対策における「知る権利」に対する明白な攻撃です。このプログラムは、主要排出企業からのデータを義務的かつ一元的に収集することで、気候汚染の実態を透明化してきました。その廃止は、社会的に責任ある投資家、環境活動家、規制当局、そして自社の事業改善を目指す企業にとっても、重要な情報源を失わせることになります。これにより、私たちは気候汚染の状況を正確に把握できなくなり、いわば「暗闇の中」で活動することになります。
気候正義の実現に向けた課題
温室効果ガス排出は、地球規模の問題であると同時に、人種的正義の問題でもあります。排出量の多い施設周辺に居住する有色人種コミュニティは、コ・ポリュータントによる健康被害を disproportionately に受けています。EPAの報告プログラム廃止は、これらのコミュニティが自らの健康と環境を守るために必要な情報を得る機会を奪い、気候正義の実現をさらに困難にする可能性があります。
今後の展望と市民の役割
トランプ政権の気候変動対策への敵対姿勢にもかかわらず、一部の州では気候スーパーファンド法のような革新的な取り組みが進んでいます。これらの法案は、企業に気候変動への責任を追及するインセンティブを与え、排出削減努力を促す可能性があります。しかし、EPAの報告プログラム廃止のような動きは、企業が自主的に排出削減に取り組むインセンティブを弱める可能性があります。このような状況下で、市民社会が気候変動に関する正確な情報を求め、企業や政府に説明責任を追及していくことが、これまで以上に重要になります。