
ビッグテックのAI「グリーンウォッシング」疑惑:データセンターの膨張と化石燃料への回帰
AI技術、特に生成AIの発展は目覚ましいものがありますが、その一方で、大手テクノロジー企業によるAIの「グリーンウォッシング」、すなわち環境への配慮を装った実態の隠蔽が指摘されています。気候変動対策に取り組む複数の団体が発表した最新の報告書は、AIの気候変動への貢献に関するテック企業の主張の信憑性に疑問を投げかけています。
報告書によると、大手テック企業が主張するAIの気候変動への貢献を示す学術研究の引用はわずか26%に留まり、36%に至っては証拠が一切示されていませんでした。特に、ChatGPTのような生成AIは、その運用に必要な膨大なコンピューティング能力を賄うため、新たなデータセンターの建設・運用を促進しており、これが化石燃料への依存を高める可能性があります。調査では、生成AIシステムが排出量を実質的かつ検証可能で大幅に削減している事例は見つかっていません。
データセンターの環境負荷の実態
AIの急速な発展を支えるデータセンターは、そのエネルギー消費量と水の使用量が膨大です。平均的なデータセンターは、約5,000世帯の家庭を賄えるエネルギーを消費し、1日に1,100万から1,900万リットルの水を使用します。これは、約3万人から5万人の都市と同規模です。この膨大な需要を賄うために、閉鎖予定だった石炭火力発電所の稼働延長や、天然ガスへの依存が強まる動きが指摘されており、化石燃料産業を延命させる一因となっています。
AIと環境問題の複雑な関係性:今後の展望と課題
AIが環境に与える影響は、単純な二項対立では語れません。AIは気候変動対策に貢献する可能性も秘めていますが、現状では、その貢献が実証されていないばかりか、環境負荷の増大を招いている側面が強く指摘されています。大手テック企業は、AIの将来的な気候変動対策への貢献によって、現在の環境負荷を相殺できると主張していますが、この主張は「証拠に基づかない、誇張されたものである」と報告書は指摘しています。
さらに、AIは環境に悪影響を与える形で利用される可能性も指摘されています。化石燃料企業が探査や採掘を効率化するためにAIを活用したり、気候変動に関する偽情報を拡散するために、テキスト生成AIが悪用されたりするケースも報告されています。
AIのエネルギー需要は、2030年までに現在の4倍になると予測されており、その影響は増大する一方です。この状況を踏まえ、AI開発と利用においては、その環境負荷に関する透明性の確保と、責任ある利用が不可欠です。現状では、「AIが気候に貢献するよりも、害する可能性の方が高い」という見方もされており、技術の進歩と地球環境の保全とのバランスをどのように取るのか、社会全体で真剣に議論していく必要があります。テック企業は、将来の「救済」という曖昧な約束に頼るのではなく、現在の環境負荷に対する具体的な説明責任を果たすことが求められています。