
国防総省とボーイスカウトアメリカ、提携維持へ方針変更合意。トランスジェンダー受け入れ巡り攻防も。
国防総省は、ボーイスカウトアメリカ(旧ボーイスカウトアメリカ)との長年にわたる提携関係を維持するため、同組織が一部の方針を変更することで合意したと発表しました。この合意は、国防長官ピート・ヘグセスの、ボーイスカウトアメリカが近年採用したとされる「ウォーク」な方針、特に多様性への取り組みに対する批判を受けてものです。
ボーイスカウトアメリカと国防総省の新たな関係性
提携維持のための政策変更
国防総省とボーイスカウトアメリカは、1世紀にわたる提携関係を継続することで合意しました。この合意には、ボーイスカウトアメリカが、メンバーに対し「出生時の生物学的な性別を使用し、性自認ではないこと」を求める方針の変更が含まれます。しかし、ボーイスカウトアメリカ側は、この変更が現行のトランスジェンダーの若者に対する方針を変更するものではなく、彼らは引き続き歓迎されると述べています。
具体的な変更点とボーイスカウトアメリカの対応
ヘグセス国防長官は、ボーイスカウトアメリカの申請書には性別として「男性」と「女性」の選択肢のみが表示され、出生証明書と一致する必要があると述べました。また、出生時に割り当てられた性別が異なる若者が、バスルームやテントなどのプライベートな空間を共有できないよう、明確にする方針も示されました。一方、ボーイスカウトアメリカの代表者は、申請書には既に性別に関する2つの選択肢しかなく、出生時の性別を尋ねていたと説明し、トランスジェンダーの若者を受け入れる体制に変更はないと強調しました。
「ウォーク」な方針への批判と組織の変革
ヘグセス国防長官の懸念とボーイスカウトアメリカの再編成
ヘグセス長官は、ボーイスカウトアメリカの2024年の名称変更や近年の多様性、包摂性、公平性(DEI)に関する方針を「ウォーク」な文化の一環とみなし、批判してきました。特に、トランスジェンダーの若者の受け入れは、同長官が問題視する点の一つでした。ヘグセス長官は、ボーイスカウトアメリカが今後6ヶ月以内に行った変更を厳格にレビューし、遵守しない場合は支援を停止する可能性を示唆しています。
ボーイスカウトアメリカの過去の変革と現在の状況
ボーイスカウトアメリカは、2013年にゲイの若者の参加を認め、2015年にはゲイの成人リーダーに対する全面的な禁止措置を解除し、2017年にはトランスジェンダーの子供たちの受け入れを発表しました。さらに、2018年から女子のボーイスカウトへの参加を認め、2019年には主要なボーイスカウトプログラム(Scouts BSA)にも女子が参加できるようになりました。これらの変革は、社会的な価値観の変化に対応するためのものですが、一部からは従来の価値観からの逸脱と見なされてきました。
今後の展望と示唆される課題
伝統と多様性の狭間で揺れる組織
今回の国防総省との合意は、ボーイスカウトアメリカが、伝統的な価値観を重んじる層と、現代の多様性や包括性を重視する層との間で、バランスを取ろうとする試みと言えます。特に、軍との長年にわたる協力関係を維持することは、組織の存続と発展にとって依然として重要です。しかし、性別に関する方針の解釈や運用においては、今後も両者の間で緊張が生じる可能性があります。
「ウォーク」な文化への軍の関与の行方
ヘグセス長官による「ウォーク」な方針への批判は、軍内部におけるDEI政策への関与に対する、より広範な議論を反映している可能性があります。軍が、組織の価値観と軍との提携関係をどのように両立させていくのか、また、軍がどのような基準で提携相手を選定していくのかは、今後の注目点となるでしょう。ボーイスカウトアメリカが、軍との関係を維持しつつ、いかにして現代社会の多様なニーズに応えていくかが問われています。