フリダ・エスコベド、カタール新外務省庁舎のデザインに採用 - 近代建築遺産を再生活用

フリダ・エスコベド、カタール新外務省庁舎のデザインに採用 - 近代建築遺産を再生活用

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メキシコを拠点とする建築家フリダ・エスコベドが、カタール新外務省庁舎のデザインに選ばれました。このプロジェクトは、近代建築のランドマークである旧郵便局を現代的に再生活用するもので、ドーハのウォーターフロントに新たな公共空間と外交の窓口を創出します。2025年12月4日にカタール国家から発表されたこの計画は、国際指名コンペティションを経て、40組の建築チームの中から選出されたものです。

歴史的建造物と現代建築の融合

旧郵便局の再生

プロジェクトの中心となるのは、1985年に建てられた近代建築「旧郵便局」です。この建物は、その独特な「鳩の巣箱」のようなデザインで知られ、新しい外務省庁舎の一部として保存・活用されます。単なる改修に留まらず、展示スペースや文化交流の拠点としても機能させることで、建物の歴史的価値を尊重しつつ、新たな命を吹き込みます。

敷地全体を包み込むデザイン

70,000平方メートルの広大な敷地に計画される新庁舎は、旧郵便局の景観を損なわないよう、北側に向かって緩やかにテラス状に広がる構成が特徴です。外観は、日差しを調整し、プライバシーと透明性のバランスを取る垂直の柱で構成され、内部は緑豊かなパティオを中心に配置されています。これにより、建築とランドスケープが調和した、落ち着きと開放感のある空間が創出されます。

国際的な評価と実績

フリダ・エスコベドは、2006年に自身のスタジオを設立して以来、革新的なデザインで国際的に注目を集めてきました。特に、2018年にはロンドンのサーペンタイン・ギャラリー・パビリオンのデザインを手がけ、当時最年少での抜擢として話題となりました。近年では、メトロポリタン美術館の新館デザインや、ポンピドゥー・センター改修の共同設計にも携わるなど、その活躍の場を広げています。

再生と文化外交の新たな象徴へ

ドーハの新たなランドマークとしての役割

新外務省庁舎は、カタールの外交政策における「調停、紛争解決、文化外交」といった使命を視覚的に表現する場となります。ドーハ湾に面した戦略的な立地を活かし、公共へのアクセスを容易にすることで、市民や国際社会に対して開かれた外交のあり方を提示します。旧郵便局の再生は、単なる建築プロジェクトに留まらず、カタールの歴史と未来をつなぐ文化的な象徴となるでしょう。

持続可能性と adaptive reuse の重要性

近代建築遺産を保存・活用する「adaptive reuse」の手法は、現代建築における重要なテーマの一つです。フリダ・エスコベドのデザインは、歴史的建造物の価値を再認識させると同時に、環境負荷の低減にも貢献します。このプロジェクトは、将来の都市開発においても、既存の建物を活かしながら新しい価値を創造していくことの重要性を示唆しています。

建築を通じた文化交流の促進

旧郵便局の1階を展示スペースと繋がる屋内庭園へと転換する計画は、建築が文化交流のプラットフォームとなり得ることを示しています。新しい外務省庁舎は、外交活動の場であると同時に、アートや文化を発信する空間としても機能することで、カタールの国際的なイメージ向上に貢献することが期待されます。

画像: AIによる生成