
ブラッド・ピットも注目!ガザの悲劇、少女ヒンドの叫びを映画化 - 英米で公開、国際的共感を呼ぶ
5歳の少女、ヒンド・ラジャブさんの死をめぐる悲劇的な物語が、ブラッド・ピットやホアキン・フェニックスらが製作に関わった映画として、今月イギリスで公開される。2024年1月に発生したこの事件は、彼女がパレスチナ赤新月社(PRCS)の緊急サービスと行った絶望的な電話のやり取りがリアルタイムで記録され、公表されたことで世界に衝撃を与えた。この映画は、ヒンドさんの実際の音声とドラマ化された演技を融合させ、彼女が助けを求める切実な叫びを伝える。
悲劇の真相と映画化への道のり
事件の概要と報道
2024年1月、ガザ市で戦闘を避けるために移動中だったヒンドさんと6人の親族(ハマダ家)が乗った車が攻撃を受けた。この事件は、Sky NewsやThe Washington Postによって調査され、イスラエル軍の戦車が周辺地域に存在し、民間人に向けて発砲した可能性が指摘されている。
映画『The Voice Of Hind Rajab』の試み
カウター・ベン・ハニア監督によるこの映画は、ヒンドさんの実際の声と、彼女の悲劇的な状況をドラマ化した演技を組み合わせている。物語は、PRCSの西岸地区にあるコールセンターを舞台に、救助のための安全なルートをイスラエル側と交渉する赤新月社の職員たちの懸命な努力を再構築する。
鑑賞者への問いかけ
90分にわたる映画は、すでに結末を知っている観客に、その長く絶望的な待ち時間を体験させ、パレスチナ人が生きることを強いられる複雑なイスラエル軍の検閲システムを体感させる。子供の「暗闇が怖い、置いていかないで」という懇願の声が響く中、日は夕暮れへと移り変わっていく。
映画が問いかけるもの - 紛争下の人間性と共感の力
「説明」から「感覚」へ:映画ならではの共感の力
カウター・ベン・ハニア監督は、この映画は事件の調査を目的としたものではなく、イスラエル占領下で生きるパレスチナ人の生活を観客に「感じてもらう」ことを意図したと語る。映画の持つ「共感」という魔法の力によって、普段は触れることのできない他者の「異質さ」を体験し、その人生を追体験させることができる、というのが監督の考えだ。
人道支援の現場における葛藤
PRCSの職員たちが、人命を救うという使命を持ちながらも、イスラエル側のシステムによってその活動が困難になる状況は、映画を通して痛切に描かれる。救助に向かう救急隊員たちが「サイレンなしで」目標に接近した直後、激しい銃撃音とともに通信が途絶える場面は、彼らが直面した極限の状況を物語っている。
ハリウッドからの支援とアカデミー賞への期待
ブラッド・ピットやホアキン・フェニックスといった著名な俳優・プロデューサーが製作に関わったことは、この作品の重要性を示唆している。昨年、第25回ヴェネツィア国際映画祭で23分間のスタンディングオベーションを受け、グランプリを受賞した本作は、アカデミー賞の有力候補とも目されており、国際的な注目度の高さをうかがわせる。