ブリティッシュコロンビアの絶景に抱かれる家「ザ・サンクチュアリ」：自然とテクノロジーが融合した未来の住まい

カナダのブリティッシュコロンビア州、スカイミッシュの景観に溶け込むように建てられた「ザ・サンクチュアリ」は、現代的なデザインと自然への回帰を融合させた住宅です。バタースビーハウアット・アーキテクツが手掛けたこの家は、単なる住居ではなく、自然との一体感を追求した静謐な空間を提供します。壮大な山々の景色とハウサウンドを見渡せるこの物件は、現在、ウェストコースト・モダンを通じて市場に出ています。

自然と調和する現代建築

hillsideに抱かれた設計

「ザ・サンクチュアリ」は、ブリティッシュコロンビア州のクランプイット・ウッズに位置し、バンクーバー中心部から北へ約1時間、ウィスラーからは約45分の距離にあります。この住宅は、花崗岩の露頭を構造の一部として取り込み、急斜面に巧みに組み込まれています。これにより、周囲の壮大な自然景観、特にスタワマス・チーフ山とハウサウンドのパノラマビューを最大限に活かした設計となっています。

自然素材とウェルネスへのこだわり

4,000平方フィート近くの広さを誇る内部空間は、自然素材をふんだんに使用し、居住者の心身の健康（ウェルネス）を最優先に考えた設計がなされています。人工的・合成的な素材を避け、ホワイトオークの造作、ヘムロック材の天井、石材の床、リネンのカーテンなどが採用されています。さらに、自然光のサイクルに合わせたハロゲン照明や、パッシブ冷却を取り入れた高度な空気・水質管理システムが導入されており、室内の快適性が追求されています。

静寂と五感を満たす空間

2019年に完成したこの家は、設計者であるバタースビーハウアット・アーキテクツにとって、まさに「聖域（サンクチュアリ）」です。居住者は、ハーブや野菜を育てることから、屋外のピザオーブンや海水を利用した温水タブ、シャワーを楽しむことまで、日々のシンプルな営みを通して自然との繋がりを感じることができます。瞑想室も設けられており、心身を癒すための空間として、細部にまで配慮がなされています。

「ザ・サンクチュアリ」が示す、自然と共生する住まいの未来

都市近郊における理想の隠れ家

「ザ・サンクチュアリ」は、都市部からのアクセスが良いにも関わらず、まるで秘境のような静けさと、圧倒的な自然景観を提供しています。これは、現代社会において多くの人々が求める「都市の利便性と自然との調和」という理想を具現化した例と言えます。自然素材の選択や、ウェルネスを重視した設計は、持続可能なライフスタイルへの関心の高まりを反映しており、今後の住宅設計のトレンドを示唆しています。

テクノロジーと自然の融合による新たな豊かさ

この住宅では、自然光に合わせた照明や高度な空調システムなど、最新テクノロジーが自然環境と調和するように巧妙に組み込まれています。これは、テクノロジーが自然を克服するのではなく、自然の良さを引き立て、より豊かにするためのツールとなり得ることを示しています。単に快適なだけでなく、環境への負荷を低減しつつ、居住者の QOL（Quality of Life）を向上させる住まいのあり方を提示しています。

景観資産としての住宅の価値

「ザ・サンクチュアリ」の価格は685万ドルと高額ですが、その価値は単に建物の仕様だけでなく、唯一無二の景観、そして自然と一体となったライフスタイル体験にあります。これは、不動産が単なる資産から、そこに住むこと自体が特別な体験となる「景観資産」としての価値を高めていることを示唆しています。今後、このような自然との共生を重視した住宅は、ますますその価値を増していくと考えられます。