
「軍を派遣する」トランプ氏、ミネアポリスで移民デモ鎮圧に「反乱法」発動も - 州知事・司法長官は反論
ドナルド・トランプ大統領が、ミネソタ州ミネアポリスでの移民執行反対デモに対し、「インサレクション・アクト(反乱法)」の発動や軍隊の派遣を示唆しました。この異例の声明は、連邦政府による地方への介入の可能性を示唆し、大きな波紋を呼んでいます。
ミネアポリスにおける緊張の高まり
大統領による強硬姿勢
トランプ大統領は、ミネソタ州の「腐敗した政治家」が移民執行機関(ICE)の職員を攻撃する「専門的な扇動者や反乱分子」を止められない場合、インサレクション・アクトを発動して状況を迅速に鎮圧すると述べました。この声明は、大統領が連邦法執行機関を保護するために、前例のない措置を取る可能性を示唆するものです。
ICE捜査官による発砲事件と抗議活動
この声明の前日、ミネアポリスでICE捜査官が容疑者とされる人物に発砲し、脚を撃つという事件が発生しました。これに対し、抗議活動家らが現場に集まり、一部は法執行機関に雪玉を投げつけるなど、混乱が生じました。この事件は、デモの引き金となり、事態をさらに緊迫させました。
州知事と司法長官の反論
ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は、トランプ大統領に対し「火に油を注ぐのはやめてほしい」と直接訴え、対話を求めています。一方、キース・エリソン司法長官は、連邦政府のICE捜査拡大は憲法修正第10条に違反すると訴訟を起こしており、トランプ政権の行動を「連邦による侵略」と強く非難しています。エリソン司法長官は、大統領令が発動された場合、法廷で異議を唱える準備があることも表明しています。
インサレクション・アクト発動の示唆が持つ意味
法的な側面と憲法上の権利
ハムライン大学のデイビッド・シュルツ教授は、インサレクション・アクトが発動されても、軍は憲法修正第1条で保障された言論や集会の自由を含む、市民の基本的な権利を尊重しなければならないと指摘しています。インサレクション・アクトは憲法停止や戒厳令を意味するものではないと説明しており、大統領が「反乱」と判断すれば発動できる強力な権限ですが、その行使には法的な制約が伴います。
連邦と州の権力闘争の激化
今回の出来事は、連邦政府と州政府、そして市民の間での権力闘争の様相を呈しています。トランプ大統領は州政府の対応に不満を示し、連邦政府の権限行使をちらつかせることで、州政府や地方自治体に圧力をかけていると見られます。これは、連邦主義の原則や、地方自治のあり方について、改めて議論を提起するものです。
今後の展望と民主主義への影響
大統領がインサレクション・アクトを発動するかどうかは現時点では不透明ですが、その示唆だけでも、アメリカ国内の政治的対立と社会的分断をさらに深める可能性があります。法廷闘争や政治的な駆け引きが続く中、この事態がどのように収束し、アメリカの民主主義のあり方にどのような影響を与えるのか、注視が必要です。