イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督、海外受賞中に禁錮刑と国外退去禁止命令

イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督、海外受賞中に禁錮刑と国外退去禁止命令

カルチャー映画ジャファル・パナヒイラン映画監督人権芸術の自由

パナヒ監督は、イラン国外で自身の作品が表彰される中、国内で「体制に反する宣伝活動」の罪で禁錮1年の実刑判決と2年間の国外退去禁止処分を受けた。この判決は、彼がニューヨークで開かれたゴッサム・アワードで、自身が監督した映画「It Was Just an Accident」で3つの賞を受賞したまさにその夜に下されたものであった。弁護士によると、パナヒ監督は判決を不服として控訴する意向を示している。

パナヒ監督とは?

ジャファル・パナヒ監督は、現代イランを代表する映画監督の一人であり、その作品は国際的に高く評価されている。しかし、長年にわたりイラン当局から度重なる投獄、国外退去禁止、自宅軟禁といった弾圧を受けてきたにもかかわらず、創作活動を続けていることで知られている。

「It Was Just an Accident」について

今回受賞対象となった「It Was Just an Accident」は、パナヒ監督がイラン国内で、秘密裏に撮影された作品である。2023年に7ヶ月間の獄中生活を経て釈放された後、彼はこの映画を完成させた。この映画は、刑務所での経験や、かつての囚人仲間たちの物語から着想を得ており、復讐劇として描かれている。しかし、囚人たちは目隠しをされていたため、犯人を特定することに苦労するという要素も含まれている。この作品は、フランスからアカデミー賞への出品も選ばれている。

表現の自由と国際社会の懸念

イランにおける芸術表現の現状

ジャファル・パナヒ監督への判決は、イランにおける芸術表現の自由に対する懸念を改めて浮き彫りにしている。パナヒ監督のように、国内外で高く評価される監督でさえ、政権に批判的と見なされる作品を発表すれば厳しい処罰を受ける可能性があることを示唆している。これは、イランの映画界だけでなく、他の芸術分野においても、表現活動が常に当局の監視下に置かれている現状を物語っている。

国際社会からの反応と今後の展望

パナヒ監督の事例は、国際社会からも注目を集めている。彼のような才能ある芸術家が、その表現活動ゆえに不当な扱いを受けることに対し、多くの人々が懸念を表明している。今後、国際的な圧力や支援が、イラン国内の表現の自由の状況にどのような影響を与えるかが注目される。また、パナヒ監督自身が、この状況を乗り越え、今後も創作活動を続けられるかどうかも、彼のファンや国際社会にとって重要な関心事となるだろう。

画像: AIによる生成