ハードウェアストアの掘り出し物が家具に!NY「NUTS + BOLTS」展で見るDIYデザインの可能性

ハードウェアストアの掘り出し物が家具に!NY「NUTS + BOLTS」展で見るDIYデザインの可能性

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ニューヨーク、ティボリで開催されている「NUTS + BOLTS」展は、DIYの精神を体現し、日用品としてお馴染みのハードウェアストアの素材を、ユニークな家具や照明、インテリア雑貨へと昇華させた作品群を紹介しています。2025年10月5日まで開催されるこの展覧会は、24名のデザイナーが参加し、身近な素材の新たな可能性を探求しています。

素材の再構築:ハードウェアストアからの驚くべき変身

「NUTS + BOLTS」展の概要

「NUTS + BOLTS」展は、2025年8月29日から10月5日まで、ニューヨーク州ティボリのAvailable Itemsギャラリーで開催されています。この展覧会の第2弾では、24名のデザイナーが、地元のハードウェアストアで入手可能な素材のみを使用して制作した家具やホームデコレーション作品を展示しています。制作にあたっては、少量の木材の使用は許可されましたが、3Dプリンティングやオンラインでの部品購入は禁止されており、デザイナーの創造性が試されています。

素材の多様性と創造性

会場には、PVCパイプ、雨どい部品、土間たたき、クランプ、ボルト、ナット、ほうき、チェーンリンクフェンス、防水シート、アルミニウム製ドア敷居など、普段は建築やDIYの現場で使われる素材が並びます。これらの素材が、デザイナーの手にかかると、実用的な椅子、テーブル、ランプとして生まれ変わります。例えば、Christian Borgerによるモジュラーフロアランプは、天井ルーバーを再利用し、Office of Tangible Spaceによるストリートブルームスツールは、ほうきの柄と穂を組み合わせています。Fort Standardのフロアランプ「Catch & Release」は、土間たたき、クランプ、漁網を組み合わせており、素材の意外な組み合わせから生まれる機能性と美しさを提示しています。

DIY精神とデザインの融合

we are happy people inc.による「Tensioned Tarp Semi-Sling Seat」は、チェーンリンクフェンスのゲートと防水シートを用いており、その構造はユニークです。また、outgoingによる「The Part」は、感光材を用いて青と白の画像を作成するシヤノタイプ印刷のプロセスを紹介しており、ここでもネジやブラケットといったハードウェアストアの小物が活用されています。Jed Heuerによるテーブルランプ「Trophy (for walking through a door)」は、アルミニウム製ドア敷居とビームクランプで作られており、日常的な素材がどのように造形的な表現に繋がるかを示しています。

身近な素材に潜むデザインの可能性:考察

「NUTS + BOLTS」展が示唆する、デザインにおける「制約」の価値

「NUTS + BOLTS」展は、デザイナーに課せられた「ハードウェアストアの素材のみを使用する」という制約が、いかに斬新で独創的なデザインを生み出す触媒となりうるかを示しています。高級素材や最新技術に頼るのではなく、身近で安価な素材に目を向けることで、デザインの新たな地平が開かれることを証明しています。これは、現代のデザイン界におけるサステナビリティやリソースの有効活用といったテーマとも深く関連しており、今後ますます重要になるアプローチと言えるでしょう。

素材の「本来の機能」を超えた価値の発見

この展覧会で展示されている作品群は、素材の本来の用途や文脈から切り離され、新たな意味や価値を与えられた姿を見せています。例えば、単なる建築資材であったPVCパイプや雨どいが、洗練された照明器具の一部となることで、私たちは素材の「隠れたポテンシャル」に気づかされます。これは、デザインが単に美的価値だけでなく、素材への新たな視点を提供し、私たちの日常的な認識を揺さぶる力を持っていることを示唆しています。

DIY文化とプロフェッショナルの融合が生む未来

「NUTS + BOLTS」展は、DIY(Do It Yourself)の精神とプロフェッショナルなデザイナーのスキルが融合した結果と言えます。大量生産・大量消費の時代において、個々のクリエイティビティと身近な素材を組み合わせることで生まれる、パーソナルでサステナブルなモノづくりへの関心が高まるでしょう。この流れは、今後、より多くのデザイナーや一般消費者が、既存の枠にとらわれず、身の回りのもので創造性を発揮するムーブメントへと繋がっていく可能性があります。

画像: AIによる生成