【2026年トレンド】シャーウィン・ウィリアムズの「ユニバーサル・カーキ」が示す、インテリアの新しい静かなる力

シャーウィン・ウィリアムズは、HGTV Home by Sherwin-Williamsとの初のコラボレーションにより、2026年のカラー・オブ・ザ・イヤーとして「ユニバーサル・カーキ（SW 6150）」を選出しました。このミッドトーンのカーキ色は、わずかに黄色味を帯びたニュアンスが特徴で、砂漠のような温かみのある雰囲気をもたらします。

シャーウィン・ウィリアムズが選ぶ2026年のトレンドカラー

ユニバーサル・カーキ：温かみと落ち着きをもたらすニュートラルカラー

アースカラーへの回帰：業界全体のトレンド

ユニバーサル・カーキの選定は、ヴァルスペアの「ウォーム・ユーカリ」、ビーズの「ヒドゥン・ジェム」、グリンデンの「ウォーム・マホガニー」など、他のペイント企業が発表したアースカラーやニュートラルカラーのトレンドと一致しています。これは、自然素材や有機的なパレットへの関心が高まっている現代のデザイントレンドを反映したものです。

カーキ色の歴史的背景とインテリアへの影響

カーキ色は、ペルシャ語の「khākī」（土っぽい、土の色）に由来し、1840年代に英国陸軍が砂漠環境に溶け込む軍服の色として採用したのが始まりです。この色は、信頼感や実用性を感じさせ、エコフレンドリーな企業がマーケティングに活用することもあります。インテリアにおいては、カーキ色は空間を広く見せ、落ち着いた心地よさを与える効果があります。

ユニバーサル・カーキが示す、現代インテリアデザインの静かなる革命

ニュートラルカラーの再定義：単なる背景色からの進化

シャーウィン・ウィリアムズが2026年のカラー・オブ・ザ・イヤーに「ユニバーサル・カーキ」を選んだことは、単なるトレンド予測を超え、現代のライフスタイルと価値観の変化を色で表現しようとする意図が感じられます。パンデミック以降、私たちは自宅で過ごす時間が増え、空間に求めるものが「機能性」から「心地よさ」「安心感」「自然とのつながり」へとシフトしました。ユニバーサル・カーキのようなニュートラルカラーは、こうした時代の気分を的確に捉え、単なる「背景」ではなく、空間の中心となり得る「主役」の色として再定義されつつあります。

歴史的背景と現代的解釈の融合：カーキ色の持つポテンシャル

カーキ色が持つ軍服やアウトドアギアといった歴史的背景は、現代においては「耐久性」「信頼性」「機能性」といったポジティブなイメージと結びつきます。これが、サステナビリティやエコロジーへの関心が高まる現代において、企業がカーキ色を好んで採用する理由の一つでしょう。インテリアデザインにおいても、この色は単に落ち着いた空間を作るだけでなく、素材感のある家具や自然素材（木、麻、リネンなど）との組み合わせによって、より深みのある、ストーリー性のある空間を創り出すことを可能にします。例えば、ラフに扱っても味が出るようなレザーソファや、使い込まれた風合いの木製家具と合わせることで、カーキ色は空間に温かみと歴史を感じさせる奥行きを与えます。

個性を引き出す「静かなる力」：ミニマリズムと共感の時代へ

シャーウィン・ウィリアムズのカラーマーケティング担当、スー・ワッデン氏が「 quiet confidence（静かな自信）」と表現するように、ユニバーサル・カーキは主張しすぎず、しかし確かな存在感で空間を包み込みます。これは、過度な装飾や派手さを求めない、ミニマリズムや「静かな贅沢」を志向する現代の価値観とも共鳴します。このようなニュートラルカラーは、住む人の個性を邪魔せず、むしろ引き立てる力を持っています。家具やアート、ファブリックといった「所有物」を通して自己表現をする時代において、ユニバーサル・カーキは、それらをより豊かに、より個性的に見せるための perfect canvas（完璧なキャンバス）となるでしょう。2026年は、この「静かなる力」を持つカーキ色が、私たちの住空間に新たな「心地よさ」と「自分らしさ」をもたらす年になるかもしれません。