ラリー・エリソン、1000億ドルの急騰で世界一の富豪へ:オラクルのクラウド戦略とAIへの投資が鍵

ラリー・エリソン、1000億ドルの急騰で世界一の富豪へ:オラクルのクラウド戦略とAIへの投資が鍵

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オラクル共同創業者ラリー・エリソン氏が、イーロン・マスク氏を抜き、世界で最も裕福な人物の座に就きました。この驚異的な富の増加は、オラクル株の41%という大幅な上昇によって牽引されました。大学を中退した経験を持つエリソン氏が、世界最大のテクノロジー企業を共同創業するまでの道のりは、多くの人々にインスピレーションを与えています。

オラクルの軌跡:データベースからクラウドの巨人へ

データベース「Oracle」の開発

ラリー・エリソン氏は、シカゴで育ち、幼少期に養子として迎えられました。イリノイ大学とシカゴ大学を中退後、カリフォルニア州バークレーに移り、Ampex社でプログラミングの仕事に就きました。そこで、中央情報局(CIA)のために「Oracle」というデータベースの開発に携わったことが、後のオラクル設立の礎となりました。

オラクルの設立と成長

1977年、エリソン氏は2人のパートナーと共にOracle社を設立しました。同社は1986年3月12日に新規株式公開(IPO)を行い、これはマイクロソフト社のIPOのわずか1日後でした。エリソン氏は2014年にCEOを退任し、会長兼最高技術責任者(CTO)の職に就きましたが、その後も同社の成長を牽引し続けています。

クラウドインフラへの巨額投資

長年にわたり、オラクルはクラウドインフラの提供、インターネットを通じたコンピューティング能力とストレージの提供に数十億ドルを投資してきました。特に、AI(人工知能)への熱意は、スタートアップ企業やその他の企業がより多くのコンピューティング能力を求める中で、同社に大きな恩恵をもたらしています。最近では、Amazon.com Inc.のような競合が支配するクラウドコンピューティングインフラの競争市場で成功を収めています。

AIブームとOpenAIとの提携

ChatGPTの登場以降、オラクル社の株価は3倍に上昇しました。2025年7月、オラクルはChatGPTを運営するOpenAIと、データセンター容量4.5ギガワット分を供給する契約を締結しました。さらに、Nvidia Corp.やByteDance Ltd.傘下のTikTokなども、同社の主要なクラウド顧客となっています。この時期、エリソン氏はマーク・ザッカーバーグ氏を抜いて世界第2位の富豪となり、その後わずか2ヶ月足らずでイーロン・マスク氏に迫る勢いとなりました。

エリソン氏の資産形成を後押しした要因

AIインフラプロジェクト「Stargate」への関与

エリソン氏は、トランプ米大統領との緊密な関係からも恩恵を受けています。トランプ氏が大統領に当選して以降、エリソン氏の会社は度々優遇措置を受けてきました。エリソン氏と彼の会社は、「Stargate」と呼ばれる5000億ドル規模のAIインフラプロジェクトに参加しています。このプロジェクトは、2025年1月にトランプ大統領によって推進されることが報じられました。また、トランプ氏はTikTokの米国事業買収に関しても、オラクル社を支持する意向を示しています。

四半期決算の好調と将来への期待

これらの要因が複合的に作用し、オラクル社の株価は今年に入ってから上昇を続けています。2025年9月9日(米国時間)、オラクルはウォール街の予想を大幅に上回る四半期決算を発表し、さらに力強い成長見通しを示しました。この発表を受けて、同社株は時間外取引で26%以上も急騰し、1999年以来最大の一日上昇率を記録しました。この急騰により、エリソン氏の資産は驚異的な700億ドル増加しました。

クラウド事業への積極的な姿勢

2025年9月10日(米国時間)、オラクル株は、クラウド事業に対する積極的な見通しを示したことにより、史上最高値を更新しました。これは、すでに好調な年を過ごしていた同社にとって大きな勝利となりました。ブルームバーグによると、オラクルの会長兼CTOであるエリソン氏の資産は、ニューヨーク時間水曜日の午前10時10分時点で1010億ドル増加し、総資産は3930億ドルに達しました。これにより、ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、3850億ドルのマスク氏を抜き、世界一の富豪となりました。

多様な資産ポートフォリオ

81歳のエリソン氏は、テキサス州オースティンに本社を置くオラクル社の株式の40%以上を保有しており、これが彼の資産の大部分を占めています。さらに、彼はマスク氏の電気自動車メーカーであるテスラの株式、自身の所有するヨットチーム、インディアンウェルズのテニスイベント、そしてハワイのラナイ島を含む不動産など、多岐にわたる資産を保有しています。

考察:AI時代におけるオラクルの可能性

AIインフラの重要性とオラクルの優位性

現在のAIブームは、強力なコンピューティングリソースへの需要をかつてないほど高めています。オラクルは、長年にわたるデータベース技術と、近年急速に強化してきたクラウドインフラ、そしてAI分野への積極的な投資により、この需要に応える強力なポジションを築いています。特に、OpenAIのような最先端AI企業との提携は、オラクルがAIエコシステムの中核に食い込む可能性を示唆しています。

競合との差別化と今後の展望

クラウド市場はAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといった巨大企業が市場をリードしていますが、オラクルはエンタープライズ向けソリューションでの強みと、AIに特化したインフラ提供能力で差別化を図ろうとしています。今後、AI技術の進化が加速するにつれて、オラクルが提供する高性能なコンピューティングリソースの需要はさらに高まるでしょう。エリソン氏のリーダーシップの下、オラクルがこのAI革命の波に乗り続け、その富と影響力をさらに拡大していくのか、注目が集まります。

画像: AIによる生成