
なぜ栃木の農場で世界が変わる?食と農から平和を創る「アジア学院」の挑戦
栃木県那須塩原の地で、今年も未来を変えるためのユニークな学びが始まりました。世界13カ国から集まった22名のリーダーたちが、約9ヶ月間にわたり「食」と「農」を軸とした実践的なプログラムに挑みます。単なる農業研修を超え、多国籍なコミュニティでの共同生活を通じて平和構築を学ぶ、その全貌に迫ります。
食と農でつなぐコミュニティリーダーの育成プログラム
世界13カ国から集結した変革の担い手たち
2026年度のアジア学院のプログラムには、アジアやアフリカ諸国から22名の研修生が参加しています。彼らは各国のNGO職員や教育者、農業普及員として活動する現場のリーダーたちです。帰国後に地域の課題を解決し、コミュニティを牽引する「変革の担い手」を育成することが本プログラムの核となっています。
循環型農業による「生きた学び」
研修の大きな柱は、アジア学院が長年実践してきた有機農業技術の習得です。学生たちは那須塩原の豊かな自然環境の中で、実際に自分たちの手で農作物を生産します。土に触れ、作物を育てるプロセスを通じて、持続可能な社会を実現するために必要な農業のあり方を模索します。
「Foodlife Work」を通じた平和構築のトレーニング
アジア学院の教育哲学である「Foodlife Work」は、食・労働・生活を一体と捉える概念です。多国籍なメンバーが共に働き、共に食べるコミュニティ生活は、言語や文化の壁を越えた対話の場でもあります。日々の共同生活そのものが、他者を理解し、平和的な共生を目指すための実践的なトレーニングとなっているのです。
持続可能な未来へのヒントを求めて
「食」を基盤としたコミュニティ形成の本質的意義
世界情勢が複雑化し、気候変動や食料不安が叫ばれる中で、自国で食を賄う「食料主権」の重要性はますます高まっています。アジア学院のアプローチは、単なる技術移転にとどまりません。食という生命維持の根幹を、コミュニティの絆で共有・管理するモデルを提示しており、これはグローバルな課題に対して地域から解決策を生み出すための本質的なアプローチといえます。
分断の時代に求められる「共に生きる」リーダーシップ
本プログラムが特筆すべき点は、多国籍なメンバーが「労働」と「生活」を完全に共有する環境にあることです。効率化や分断が進む現代社会において、泥臭く土を耕し、食を共にし、多様なバックグラウンドを持つ他者と膝を突き合わせて対話するアジア学院のスタイルは、平和構築の原点といえます。今後、この研修プログラムの卒業生たちが世界各地でどのようにその理念を広げ、地域社会を変革していくのか。那須塩原から発信されるこのモデルケースは、ローカルな学びがグローバルな課題を解決する可能性を体現しています。