
OpenAIのSora 2、発表時と激変した品質の謎:投資家向け「見せ玉」だったのか?
OpenAIが招待制で発表した動画生成AI「Sora 2」は、当初、その驚異的なクオリティで投資家やユーザーを魅了しました。しかし、発表から間もなく、「Sora 2の品質が著しく低下した」というユーザーからの苦情が噴出しています。EOSHDでは、この不可解な事態の真相を探ります。
Sora 2で何が起きたのか?
当初の驚異的なパフォーマンス
Sora 2は、招待制での提供開始当初、非常に印象的な映像を生成していました。複雑なプロンプトにも対応し、映像の細部に至るまで指示が可能でした。例えば、映画のような表現(180度シャッター、ラージフォーマットセンサー、シャープなマイクロコントラスト、ゲート織りの無効化など)や、レンズの種類、フィルター、サウンド、グレーディング、ライティングまで指定できました。これにより、ドラゴンの飛行シーンなど、息をのむような映像が作成されていました。
突然の品質低下とユーザーの不満
しかし、一部のユーザーからは、Sora 2の生成する映像の品質が「ゴミのよう」に低下したとの報告が相次いでいます。Redditなどのコミュニティでは、「Sora 2の品質がすでにひどく台無しになっているのは信じられない」といった意見が見られ、OpenAIが意図的に品質を低下させたのではないかという声が上がっています。この品質低下は、当初のSora 2が抱えていた「招待制にもかかわらず、負荷にシステムが耐えられなくなった」という問題への対応策として行われたと推測されています。
ビジネスモデルへの疑問
多くのユーザーは、OpenAIがSora 2を当初の性能のまま大規模に展開するための持続可能なビジネスモデルを持っていないのではないかと指摘しています。一部の憶測では、Sora 2は投資家や世間の注目が集まる重要なタイミングで、そのポテンシャルを最大限に見せるために「赤字覚悟」で提供されたのではないかと言われています。その後、予想以上の損失が出たため、計算資源の使用量を大幅に削減し、事実上、性能を「ダウングレード」したのではないかという見方です。
今後の展望とAIの現実
現在、多くの国ではSora 2の利用自体が制限されており、OpenAI Plus(月額23ユーロ)の加入者でも、Sora 1の限定的な利用しかできない状況です。Sora 2の本来の性能を維持したまま、一般ユーザーに提供できるのか、あるいはプロフェッショナル向けのサービスとして高額な料金設定になるのか、その未来は不透明です。
AI動画生成の未来とビジネスモデルの課題
計算資源の限界とコスト
Sora 2のような高度なAIモデルは、膨大な計算資源を必要とします。Nvidiaの株価が示すように、AI用GPUへの需要は sky high ですが、その供給は需要に追いついていません。さらに、最新のGPUでさえ、消費電力、冷却、発熱の問題が大きく、経済的に見合わないレベルに達しています。ゲーマーや仮想通貨マイナーの需要も加わり、供給が限られている現状では、AI動画生成のスケールアップは現実的ではありません。
期待と現実のギャップ
AI技術への期待は高まる一方ですが、その一方で、生成されるコンテンツの質と実用性にはまだ大きなギャップがあります。現状のSoraで生成される映像は、プロの制作現場で実用できるレベルには達しておらず、あくまで「おもちゃ」や「アイキャッチ」程度のものです。また、ガードレールや著作権制限の強化は、モデルの意図した生成能力をさらに制限する可能性があります。
AIバブルとそのリスク
著者は、現在のAIブームは「AIバブル」であり、経済的な大混乱を引き起こす可能性があると警告しています。AI技術自体には大きな可能性を秘めているものの、過剰な楽観論と投機的な資金流入が、投資家にとって最も愚かな資金の使い方の一つを生み出していると指摘しています。AI企業は、規模拡大に必要な利益を生み出せず、債権者に依存する構造になっており、いずれ「クランチ(逼迫)」が訪れると予測しています。
「知性」と「計算」の区別
現在のAI、特にChatGPTのようなモデルは、大量の既存データから知識を合成する「計算タスク」に過ぎないと論じています。これを「知性」と呼ぶのは誤解を招くとし、真の知性、意識、感情、そしてそれに基づく理解や創造性には至っていないと述べています。動画生成AIも同様に、現実世界の表面的なシミュレーションに過ぎず、真の理解や創造性を持っているわけではないとしています。
クリエイターの価値とAIの限界
クリエイティブな分野では、作品の背後にいる「人間」の存在が重要視されます。AIが生成したコンテンツは、たとえそれが一時的に「アイキャンディ」として魅力的であっても、その「顔のないシミュレーションマシン」という出自ゆえに、作品自体の価値を低下させる可能性があると指摘しています。特に、「オッペンハイマー」のような深みのある作品において、AIがどのような役割を果たせるのかは疑問視されています。
投資家への警告
著者は、AI、特に最先端のモデルのビジネスモデルの将来は不透明であり、生成AIの価値が一般の人々の生活や仕事の質を向上させる形で示されるまでには、まだ時間がかかると見ています。現状では、ChatGPTは便利なデータ処理ツール、画像・動画生成AIは「派手なおもちゃ」に過ぎないと評しています。そして、もし自身が投資家であれば、2026年1月にはAI関連株をすべて売却すると述べています。