太平洋ゴミの巨大パッチ、新たな「生態系」が出現し海洋生物に深刻な影響を与える可能性

長年、プラスチックごみの巨大な集積地として知られる太平洋のゴミの巨大パッチが、今や多様で活気のある海洋生物のコミュニティを育む場所となっています。これまでの想定とは異なり、このプラスチックで覆われた環境は、浮遊するプラスチックのいかだの上で生活し、繁殖し、拡散する何十もの沿岸種を支える、新しい生態系へと変貌を遂げました。この変化は複雑な課題を提示しており、海洋環境を再形成するだけでなく、外来種の侵入、食物網の混乱、そして化学物質への曝露リスクの増大といった懸念も引き起こしています。

プラスチックごみから生まれた新たな「ネオペラジック」生態系

科学者たちは、太平洋のゴミの巨大パッチがもはや単なるゴミの集積場ではなく、海洋生物にとっての新たな生息地となっているという驚くべき発見をしました。最近の研究によると、ゴミのパッチから回収されたプラスチックごみの大部分に、多様な無脊椎動物が生息していることが明らかになりました。

プラスチックのいかだで繁栄する沿岸種

ゴミのパッチから採取された105個のプラスチック片を分析した研究では、その98%に生きた無脊椎動物が生息していることが判明しました。これらには、フジツボ、カニ、端脚類、コケムシ、ヒドロ虫、イソギンチャクなどが含まれていました。
驚くべきことに、確認された種の約80%は沿岸性の無脊椎動物でした。これらは通常、外洋ではなく、沿岸や浅い海底で見られる生物です。これは、この海洋環境における種の構成に大きな変化が生じていることを示唆しています。
プラスチックの破片上で、抱卵期のメスや、幼体から成体まで、さまざまな成長段階の生物が見つかっていることから、これらの種は単なる一時的な同乗者ではなく、この新しい生息地で完全に繁殖し、ライフサイクルを確立していることが示唆されています。

海洋生息地の再形成

カリフォルニアとハワイの間の北太平洋亜熱帯循環と呼ばれる海域に位置する太平洋のゴミの巨大パッチには、推定で数兆個のプラスチック片が存在します。長年にわたるこのゴミの蓄積は、単なる汚染を超えた影響を及ぼし始めています。
漁網、ロープ、ブイなど、長持ちする素材でできたプラスチックの破片は、海洋生物にとって安定した基盤を提供しています。これにより、プラスチックによって維持される前例のない「ネオペラジック」生態系、すなわち新しい海洋環境が形成されています。

プラスチックによる生息地の出現がもたらす予期せぬ結果

生命が困難な状況でも適応するという事実は驚くべきことですが、このプラスチックベースの生態系の出現は、海洋の生物多様性と海洋の健康にとって重大な脅威をもたらしています。

外来種の拡散と食物網の混乱の加速

これらの浮遊するプラスチックの「島」は、沿岸種を広大な海洋を横断して輸送する非常に効果的な「いかだ」として機能します。これにより、これらの種が新しい地域で外来種となり、在来種を駆逐するリスクが大幅に高まります。2011年の東日本大震災の後、日本の沿岸種を乗せた瓦礫が数年かけて北米やハワイに漂着した事例が、この現象の前例となっています。
沿岸の捕食者、草食動物、濾過摂食動物が外洋に進出することで、既存の外洋性生物の食物網が混乱します。資源をめぐる競争は、捕食者と被食者の自然なバランスを変化させ、海洋生態系内の栄養素とエネルギーの流れに影響を与える可能性があります。

絡まりと化学物質曝露による新たなリスク

生息地を提供するプラスチックごみ自体が、依然としてより大きな海洋生物にとって致命的な脅威となっています。ウミガメ、海鳥、海洋哺乳類は、これらのゴミに絡まったり、付着している生物を食べようとしてプラスチックを誤飲したりする危険にさらされ続けています。
さらに、プラスチック素材は有害な化学物質を海水中に溶出する可能性があり、また、海水中の汚染物質を表面に濃縮する性質も持っています。これにより、プラスチック上に生息する生物、さらにはそれらを捕食する生物が、高濃度の有毒化学物質にさらされる可能性があり、長期的な健康への影響は未知数です。

「生きている」ゴミの巨大パッチに対する倫理的・科学的課題

プラスチックの継続的な蓄積により、除去作業も確立された生物相を考慮する必要が生じています。太平洋のゴミの巨大パッチは、単なる汚染問題から、人類が意図せずして作り出した複雑な生態系へと移行しました。

クリーンアップ活動の見直し

ゴミの巨大パッチからプラスチックを除去するための大規模なシステムを開発している組織もあります。しかし、どのようなクリーンアップ活動であっても、これらの生物にさらなる害を与えたり、意図せずして他の場所に拡散させたりすることなく、それらを撤去するという倫理的および科学的な課題に対処しなければなりません。
根本的な解決策は、依然として、まずプラスチックが海に入るのを防ぐことにあります。これには、プラスチック生産の削減、廃棄物管理インフラの改善、そしてより持続可能な素材の開発といった多角的なアプローチが必要です。これらの基本的な変化なしには、太平洋のプラスチックベースの生態系は成長を続け、海洋生物と地球の海全体の健康に対するリスクは増大し続けるでしょう。