「ジョイスの再現」が鍵？ パーカー敗北から紐解く、ウォー דリー勝利への青写真
元WBA暫定ヘビー級王者ファビオ・ウォードリーが、WBO暫定王者ジョセフ・パーカーとの注目の一戦に臨むにあたり、元ジュニアミドル級王者セルジオ・モラはウォードリーの勝利を確信している。モラは、3年前にジョー・ジョイスに敗れたパーカーの弱点を分析し、ウォードリーがジョイス以上のパフォーマンスを発揮できる可能性を指摘する。本記事では、モラ氏の分析に基づき、ウォードリーがパーカーを攻略するための具体的な戦略「ブループリント」を探る。
パーカー攻略の鍵：ジョイスの再現となるか？
元ジュニアミドル級王者であり、現在は解説者としても活躍するセルジオ・モラは、2025年10月25日にロンドンのO2アリーナで開催されるジョセフ・パーカー対ファビオ・ウォードリー戦において、ウォードリーがパーカーを「ストップするかもしれない」と大胆な予想を立てた。モラ氏がこの自信を持つ根拠は、パーカーが2022年9月24日にジョー・ジョイスに11ラウンドKOで敗れた試合にある。モラ氏は、現在のウォードリーは、当時パーカーを破ったジョイスよりも優れたボクサーであると主張している。
ウォードリーのホームアドバンテージとモラの予想
モラ氏は、ウォードリーがホームであるイギリスで戦うことが有利に働くと見ている。さらに、「ウォードリーがパーカーを止めるだろう」とDAZN Boxingのインタビューで語り、ウォードリーの勝利を確信していることを表明した。この予想に対し、DAZNの解説者クリス・マンニックス氏は懐疑的な見方を示したが、モラ氏はパーカーがジョイスに敗れた事実を強調し、ウォードリーのポテンシャルを高く評価した。
「全軍突撃」プラン：パーカーの弱点を突く
モラ氏が提案するウォードリー勝利への「ブループリント」は、ジョー・ジョイスがパーカーに対して行った戦術を彷彿とさせる。それは、休むことなくパーカーにプレッシャーをかけ続け、リングを囲い、あらゆるパンチを力強く打ち込むという「全軍突撃」プランだ。パーカーはプレッシャーをかけられると後退し、パンチの威力が失われる傾向がある。ジョイス戦でも見られたように、3分間の激しい攻撃にさらされ続けると、パーカーはスタミナが落ちる。33歳のパーカーは大型選手であり、ウォードリーの執拗な攻撃によって「萎縮する」可能性があるとモラ氏は分析している。
ハンニ戦に見るウォードリーの課題と進化
しかし、ウォードリーの勝利を疑問視する声もある。クリス・マンニックス氏は、ウォードリーが直近の試合（2025年6月7日）でジャスティス・ハンニにアウトボクシングされ、10ラウンドまで大差でリードを許していた状況を指摘した。その試合でウォードリーは、絶体絶命の状況から放った右の一撃でハンニを倒し、逆転勝利を収めた。この試合は、ウォードリーの驚異的なパワーを示す一方で、試合展開によっては苦戦する可能性も浮き彫りにした。ハンニもまた、2021年のオリンピック出場を目指していた実力者であり、ウォードリーが苦戦したことは、パーカーのような経験豊富なボクサーに対して、単純なパワーだけでは攻略できない可能性を示唆している。
パーカーの近年の復活劇とアンディ・リーの影響
一方、ジョセフ・パーカーは、トレーナーにアンディ・リーを迎えてから目覚ましい復活を遂げている。2021年3月にリー氏をトレーナーに迎えて以降、パーカーは9試合中8勝を挙げている（1敗）。その唯一の敗北はジョー・ジョイス戦であったが、その後の6連勝で、マーティン・バコレ、ザン・ジレイ、そしてデオンテイ・ワイルダーといった強豪を破っている。ただし、これらの勝利は、相手が必ずしもキャリアのピークではなかったという側面もある。ワイルダーは38歳、ザンは40歳であり、バコレも試合当時はコンディションが万全ではなかったとの指摘もある。それでも、パーカーがこれらの強敵を退けてきた事実は、彼の進化と粘り強さを示している。
今後の展望：ウォードリーの戦略的勝利への道筋
セルジオ・モラが描くウォードリー勝利への「ブループリント」は、パーカーの過去の敗北、特にジョイス戦での戦い方を参考に、徹底的なプレッシャーと攻撃でパーカーを消耗させる戦略である。しかし、ハンニ戦で露呈したウォードリーの試合運びにおける課題や、アンディ・リー体制下でのパーカーの進化を考慮すると、この試合は一筋縄ではいかないだろう。ウォードリーがジョイスの再現を果たすには、単なるパワーだけでなく、試合全体を通じた戦術的な遂行能力が問われることになる。パーカーの経験と進化、そしてウォードリーの爆発力と課題。10月25日の対戦は、ヘビー級戦線における重要な一戦となることは間違いない。この試合の結果は、今後のヘビー級の勢力図に大きな影響を与える可能性を秘めている。ファンの注目は、ウォードリーがモラの描く「青写真」通りに勝利を掴むのか、それともパーカーがその経験と進化で応戦するのか、という点に集まっている。