RBIのAI「Mule Hunter」、月2万件の不正口座を摘発!デジタル詐欺対策の最前線

RBIのAI「Mule Hunter」、月2万件の不正口座を摘発!デジタル詐欺対策の最前線

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インド準備銀行(RBI)のサンジェイ・マルホトラ総裁は、AIを活用した不正口座摘発ツール「Mule Hunter」が、毎月約2万件の不正口座を検出しており、高い成功率を示していると発表しました。この画期的なツールの導入により、インドにおけるデジタル詐欺対策が新たな段階に入っています。

不正口座摘発の現状とツールの詳細

Mule Hunterツールの概要

Mule Hunterは、RBIイノベーションハブ(RBIH)によって開発されたAI搭載ツールで、不正資金の移動経路となる「ミュール口座」を特定することに特化しています。これらの口座は、不正に得られた資金の送金や隠匿に利用されるため、デジタル詐欺の根絶において重要なターゲットとなっています。

RBIによるAI・機械学習モデルの導入

RBIは、ミュール口座を介したデジタル詐欺を防止・軽減するために、人工知能(AI)および機械学習(ML)ベースのモデルとしてMule Hunterを昨年導入しました。このツールの導入により、従来の手法では見逃されがちだった不正な資金の流れを効率的に追跡することが可能になりました。

導入銀行の進捗状況

現在、約20行の銀行が計画通りにこのシステムを採用しており、RBIが目標とする銀行数に近づいています。マルホトラ総裁は、「目標としている20行への導入はほぼ達成段階にあり、順調に進んでいます。このツールは高い成功率を示しており、ミュール口座の検出に大きく貢献するでしょう」と述べています。

RBIの多角的な詐欺対策

RBIは、Mule Hunterツールの活用に加え、ホーム省傘下のインドサイバー犯罪調整センター(I4C)との連携強化など、デジタル詐欺対策のために多岐にわたる措置を講じています。総裁は、銀行や決済システムの安全性とセキュリティを向上させるため、総裁および副総裁レベルで継続的なレビューが行われていることを強調しました。

デジタル詐欺対策におけるAIの重要性と今後の展望

AIによる不正検知能力の飛躍的向上

Mule Hunterツールの成功は、AIが金融分野における不正検知能力を飛躍的に向上させる可能性を示しています。従来のルールベースのシステムでは対応が難しかった、巧妙化・複雑化するデジタル詐欺の手法に対し、AIはパターン認識や異常検知といった高度な分析により、迅速かつ的確に対応することが可能です。

金融インフラ全体のセキュリティ強化への期待

RBIによるこのような先進的な取り組みは、インドの金融インフラ全体のセキュリティレベルを引き上げることに貢献するでしょう。約20行の銀行がこのシステムを導入することは、不正口座の拡散を抑制し、ひいては一般消費者や企業を詐欺被害から保護することにつながります。今後、さらなる銀行の参加や、ツールの機能拡充が進むことで、より強固なデジタル金融エコシステムの構築が期待されます。

利用者への注意喚起と啓発の重要性

マルホトラ総裁が指摘するように、デジタル詐欺対策には技術的な進歩だけでなく、一般市民の意識向上も不可欠です。ワンタイムパスワード(OTP)などの重要情報の共有を控えること、高利回りを謳う詐欺的なスキームに惑わされないことなどが、被害を防ぐための基本的ながらも極めて重要な行動となります。RBIは、技術と啓発活動の両輪で、デジタル詐欺との戦いを続けていく方針です。

画像: AIによる生成