氷がなくても気候は激変!地球の「揺れ」が約8300万年前の気候変動を解明

氷がなくても気候は激変!地球の「揺れ」が約8300万年前の気候変動を解明

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映画『デイ・アフター・トゥモロー』で描かれたような急激な気候変動は、ハリウッドの誇張された描写ではありますが、地球の気候が急速に変化しうるという考えには確固たる科学的根拠があります。過去の氷河期には、グリーンランドの気温が数十年で16℃も上昇し、氷山の放出が北大西洋を混乱させるドゥーンス・オエシュガー・イベントやハインリッヒ・イベントが繰り返し発生しました。これらの数千年スケールで発生する急激な遷移は、長期的な気候変動をペースメーカーする緩やかな軌道サイクルよりも、地球の気候システムがはるかに速く再編成されうることを示しています。これまで、こうした数千年スケールの変動は主に大規模な氷床のダイナミクスに関連付けられてきましたが、大陸氷が存在しない温暖な温室期間に同様の挙動がどのように発生しうるのかという謎が残されていました。この度、中国地質大学(北京)の王成善教授を中心とする国際チームが、氷床に依存しない新たな解決策を提案しました。

軌道周期が導く古代の気候変動メカニズム

地球の歳差運動が鍵

研究チームは、地球の歳差運動、すなわち自転軸のゆっくりとした揺れが、氷床の存在に依存せずに、急激な数千年スケールの気候変動を自然に生成しうることを実証しました。この研究は、約8300万年前の後期白亜紀、すなわち高濃度の二酸化炭素と主要な氷床が存在しなかった典型的な温室期間の、中国松遼盆地から採取された堆積コアの高解像度記録に基づいています。

歳差運動と軌道離心率の影響

地球の自転軸は約26,000年周期で歳差運動しており、この運動が地球の楕円軌道の回転と相互作用することで、約19,000年と23,000年の2つの主要な気候歳差サイクルを生み出します。これらは、太陽エネルギーの季節的な分配を調節します。赤道付近では、歳差運動による日射量の変動が4つの異なる気候応答を生み出し、約5,000年周期の「四半期歳差」周期を特徴づけます。

堆積コア記録による検証

松遼盆地の堆積コア記録は、この理論的モデルを支持しています。地球化学データ、鉱物学的指標、および攪拌シミュレーションを統合することで、研究チームは後期白亜紀の気候が、より長期的なトレンドの上に重ね合わされた4,000年から5,000年周期の強い変動を伴う、湿潤状態と乾燥状態の間で交互に変化していたことを再構築しました。

氷床不在でも気候は不安定

この変動の振幅は一定ではなく、約100,000年周期のサイクル(地球の軌道離心率の変動に対応)に同期して増減していました。これは、軌道離心率が、時間とともに歳差運動による気候への影響を強めたり弱めたりする変調因子として作用したことを示唆しています。この結果は、氷床が存在しない温室効果状態であっても、地球の気候は決して安定しておらず、歳差運動に関連する太陽放射の変動が、数千年スケールの気候サイクルを主導する主要な要因であったことを示しています。

将来の気候変動を理解するための示唆

過去の温室期は未来の縮図か

後期白亜紀の二酸化炭素レベルは約1,000 ppmに達しており、これは今世紀末の予測値に匹敵します。このため、白亜紀の温室気候は、地球の未来を理解するための重要なアナログとなります。この研究は、地球の軌道配置が今後数十億年間安定していることを考えると、天文学的な歳差運動と数千年スケールの気候サイクルの間の密接な関連性が、白亜紀に見られたような高頻度の気候変動が、将来のより温暖な地球でも出現する可能性を示唆しています。

予測可能性の向上と課題

軌道要素の変動は予測可能であるため、これらの変動が気候に与える影響を理解することは、将来の気候変動の予測可能性を高める上で重要です。しかし、これらの変動がどのように内部的な気候システムの変化を引き起こすのか、また、それが現代の気候システムにどのような影響を与えるのかについては、さらなる研究が必要です。氷床の有無に関わらず、気候システムは内的に不安定であり、外部からの刺激に対して急速に応答する能力を持っていることを認識する必要があります。

地球システム科学への貢献

この研究は、氷床という特定の要因に依存しない、より普遍的な気候変動メカニズムを提示した点で、地球システム科学に大きく貢献します。これにより、過去の気候変動だけでなく、将来の気候変動シナリオをより精緻に評価するための新たな視点が得られます。

画像: AIによる生成