
Anthropic、Googleと数十億ドル規模のインフラ提携交渉へ
AnthropicとGoogle、数十億ドル規模の提携交渉へ
AI企業Anthropicが、Googleとの間で数十億ドル規模のクラウドコンピューティング契約に向けた初期協議を進めていることが明らかになりました。この契約が成立すれば、AnthropicはGoogleのAI開発に特化したカスタムチップであるテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)へのアクセスを確保することになります。これは、既に巨額の投資を行っているGoogleとのパートナーシップをさらに深化させるものです。交渉はまだ初期段階ですが、AI開発競争において、独自のコンピューティングインフラへのアクセスがいかに決定的な優位性となっているかを示しています。
AI開発競争におけるインフラの重要性
GoogleはこれまでもAnthropicに約30億ドルを投資しており、主要なクラウドプロバイダーの一つです。今回の大型契約は、生成AIインフラ市場におけるGoogleの地位をさらに強固なものにする可能性があります。この市場では、最先端のAIモデルをトレーニングし展開するためのコンピューティング能力とチップの入手可能性が、勝者を左右する要因となっています。クラウド大手とAI開発企業が、高性能ハードウェアへの需要に対応するため、長期的な供給契約を締結する動きが加速しています。
Anthropicの急成長とマルチクラウド戦略
Anthropicの急速な成長は、AIにおけるスケールメリットの経済効果の高まりを反映しています。同社は最近130億ドルを調達し、企業価値は1830億ドルに達しました。2021年にOpenAIの元研究者によって設立されたAnthropicのClaudeモデルは、規制産業向けのマルチモーダル推論やコンプライアンスツールを提供し、エンタープライズ導入の中心となっています。2025年には「Claude Sonnet 4.5」と「Claude Agent SDK」を発表し、プラットフォームを開発者ツールや自動化へと拡張するなど、Claudeをエコシステムへと転換させる戦略を進めています。SDKは開発者がClaudeの推論能力を既存のエンタープライズシステムに組み込むことを可能にし、Sonnet 4.5はマルチモーダル理解とリアルタイムタスク実行を強化します。一方、MicrosoftもAnthropicとの連携を深める可能性を探っており、クラウド・アライアンスがいかに変化しているかを示唆しています。Amazonも既にAnthropicに最大80億ドルをコミットしており、同社をカスタムAIチップの最大利用者の一つとしています。Googleとの交渉は、Anthropicのマルチクラウドアプローチをさらに確固たるものにし、冗長性と最先端シリコンへのアクセスを保証することになるでしょう。
AIインフラ供給網における戦略的連携の深化
AI開発競争の鍵を握るコンピューティングリソース
AnthropicとGoogleの提携交渉は、AI開発におけるコンピューティングリソースの戦略的重要性を改めて浮き彫りにしています。最先端のAIモデル、特に大規模言語モデル(LLM)の開発と運用には、膨大な計算能力と特殊なハードウェアが不可欠です。Googleのようなクラウドインフラの巨人は、これらのリソースを提供することで、AIエコシステムにおける影響力を拡大しようとしています。AnthropicのようなAI企業は、自社のモデル開発と展開を加速するために、こうしたインフラへの安定的なアクセスを確保する必要があります。この相互依存関係が、両社を数十億ドル規模のパートナーシップへと駆り立てています。
マルチクラウド戦略の重要性と今後の展望
AnthropicがGoogleとの契約を模索していることは、同社がAmazon Web Services (AWS) やMicrosoft Azureといった他の主要クラウドプロバイダーとも関係を維持しつつ、自社の技術基盤を多様化させる「マルチクラウド戦略」を推進していることを示唆しています。AI開発企業にとって、単一のクラウドプロバイダーに依存することは、ベンダーロックインのリスクや、将来的なコスト増加のリスクを伴います。複数のクラウドを利用することで、Anthropicは価格交渉力を高め、各プロバイダーの強みを活かし、リスクを分散することができます。Googleにとっては、Anthropicのような有力なAI企業との関係強化は、AWSやAzureとのクラウドAIインフラ市場における競争を有利に進めるための重要な一手となるでしょう。今後、AI開発企業とクラウドプロバイダー間のこうした戦略的提携は、さらに増加していくと予測されます。