イーライリリー株、GLP-1薬剤の成功で株主へ470億ドル還元！その原動力と今後の展望

イーライリリー・アンド・カンパニー（Eli Lilly and Company, LLY）の株価は、近年、同社の革新的な医薬品、特にGLP-1受容体作動薬である「マンジャロ」と「ゼップバウンド」の目覚ましい成功に牽引され、目覚ましい成長を遂げてきました。この医薬品のブロックバスター級の成功により、同社は2025年に入ってからも年初来9%のリターンを記録し、市場の変動にもかかわらず、その回復力を示しています。

イーライリリーの株主還元戦略とその成果

イーライリリーは過去10年間で、配当と自社株買いを通じて470億ドルを株主に還元してきました。この株主還元策は、2025年も継続され、株価は年初来9%のリターンを達成しています。

大規模な自社株買いと配当増加

2024年12月には、150億ドルの自社株買いプログラムが承認され、これは製薬業界における最大規模の資本還元イニシアチブの一つとなっています。さらに、イーライリリーは7年連続で配当を15%増加させ、四半期配当を1.30ドルから1.50ドルに引き上げました。これにより、年間配当は6.00ドルとなり、現在の株価水準で約0.74%の配当利回りを提供しています。

業績を牽引するGLP-1薬剤

GLP-1薬剤「マンジャロ」と「ゼップバウンド」の成功が、イーライリリーの業績を牽引しています。2024年の収益は前年比32%増の450.4億ドル、利益は102%増の105.9億ドルに達しました。これらの薬剤は、研究開発への多額の投資を維持しながら、積極的な自社株買いと配当成長を可能にする強力なキャッシュフローを生み出しています。これら2つの薬剤だけで、昨年は115億ドルの売上を記録し、2025年前半にはその数字が115%増加し、145億ドルに達しています。

市場との比較とイーライリリーの強み

イーライリリーの株価は、歴史的な株主還元額では58位にランクされています。しかし、メタ（META）やマイクロソフト（MSFT）のような成長企業と比較すると、イーライリリーはより高いバリュエーション、より速い成長、そしてより強力な利益率を示しており、S&P500のメディアンを上回るパフォーマンスを見せています。

イーライリリーの株主還元と成長のバランス

株主還元と成長のトレードオフ

イーライリリーの株主還元策は、その強力な財務実績と将来のキャッシュフロー創出能力への経営陣の自信を反映していますが、これはしばしば成長の可能性とのトレードオフになります。メタやマイクロソフトのような企業は、より速い成長を遂げながらも、株主への還元比率は相対的に低い傾向にあります。イーライリリーの現在の株価は、その高いバリュエーションを正当化するほどの持続的な成長を達成できるかにかかっています。

GLP-1市場における競争とイーライリリーの戦略

GLP-1市場は急速に拡大していますが、競合他社もこの分野に参入しており、イーライリリーは「マンジャロ」と「ゼップバウンド」の優位性を維持しつつ、パイプラインの強化を続ける必要があります。研究開発への継続的な投資は、将来の競争力を維持するために不可欠です。

過去の株価変動と今後の展望

イーライリリーの株価は、過去に金融危機やドットコムバブルの際に大幅な下落を経験しています。現在の堅調なファンダメンタルズは将来の成長を期待させますが、市場全体の低迷期には株価の変動リスクも存在することを認識しておく必要があります。イーライリリーの堅実な財務基盤と、GLP-1薬剤の継続的な成功は、今後も株主価値を高めていく可能性を秘めています。